原級留置者の今回と前回の比較(表2−3)を見ると、中退者・長欠者傾向とは逆に、各学年の及び学年計において原級留置者0名の比率が上昇していることが分かる。どの学年でも、原級留置者2名以下の範囲でおさまっている学年が約8割あると考えることができる。特に、3年生では3名以上の原級留置者を抱える学校はほとんどないといってもよい。留年してもう1年同じ学年を繰り返すよりも、中退を選ぶ生徒が多くなったことのあらわれではないか。

表2-2  原級留置者

今回(1997年度)

前回(1986年度)

  1年 2年 3年 学年計
  %
(実数)
%
(実数)
%
(実数)
%
(実数)
0名 42.6
(49)
36.5
(42)
70.4
(81)
19.1
(22)
1〜2名 32.2
(37)
41.7
(48)
27.8
(32)
33.0
(38)
3〜10名 19.1
(22)
20.0
(23)
1.7
(2)
33.9
(39)
11〜20名 3.5
(4)
1.7
(2)
-
-
10.4
(12)
21〜30名 1.7
(2)
-
-
-
-
1.7
(2)
31〜40名 0.9
(1)
-
-
-
-
0.9
(1)
41〜50名 -
-
-
-
-
-
0.9
(1)
  1年 2年 3年 学年計
  %
(実数)
%
(実数)
%
(実数)
%
(実数)
0名 41.7
(30)
29.2
(21)
58.3
(42)
16.9
(12)
1〜2名 27.8
(37)
34.7
(48)
26.4
(32)
26.8
(38)
3〜10名 25.0
(18)
27.8
(20)
15.3
(11)
31.0
(22)
11〜20名 5.6
(4)
8.3
(6)
-
-
15.5
(11)
21〜30名 -
-
-
-
-
-
8.4
(6)
31〜40名 -
-
-
-
-
-
0.0
(0)
41〜50名 -
-
-
-
-
-
1.4
(1)


3.中退者・長欠者・原級留置者が課題集中校に集中

 校種別の中退率(図2−1)、長欠率(図2−2)を見れば、学校間格差がはっきりグラフに示されていることが分かる。進学校は中退率と長欠率が0〜2%の範囲にすべて収まっている。中堅校になると中退率、長欠率ともに0〜5%の間に収まっていることがうかがえる。それぞれ、学年合計の数字であり、学区毎に学級数の事情は異なるが、進学校は1学年8学級〜10学級、全学年24〜30規模の学校が多く、中退者数の実数では11〜20名の学校が1校に過ぎず、あとは10名以下になっている。長欠社の実数も、10名以下に収まっている。中堅校は1学年6〜8学級、全学年18〜24学級規模の学校が多く、中退者の実数では21〜30名の学校が1校に過ぎず、あとは20名以下になっている。長欠者の実数も、20名以下に収まっている。

 
表3 課題集中校の中退者・長欠者数の分布
中退者数 0 1-10 11-20 21-30 31-40 41-50 51-60 61-70 81-
学校数 0 1 8 5 5 4 4 4 4
長欠者数 0 1-2 3-10 11-20 21-30 31-40 41-50 51-  
学校数 0 0 5 10 8 5 5 2  

 ところが課題集中校では、中退率が0〜2%の学校は17.1%に過ぎず、2〜5%が40.0%ともっとも多い。さらに進学校・中堅校では0%となっている5〜10%が25.7%、10〜15%が17.4%と突出している。長欠率も0〜2%が34.3%、2〜5%が40.0%、進学校・中堅校では0%である5〜10%が22.9%となっていて、その集中ぶりがうかがえる。中退者・長欠者の実数の分布と学校数(表3)は以下の通りである。課題集中校は1学年6学級校が多く、全学年18学級である。その中で、毎年1〜2クラスの生徒が学校を去っていき、1クラス分の生徒が欠席している学校が存在するということである。中退者・長欠者の全体的な増加傾向は、実は課題集中校の問題であったと言える。
 次に、校種別の原級留置者数(図2−3)のグラフを見ると、進学校・中堅校の1/4が原級留置者が0名となっている。最大頻度グループを見ると、進学校は1〜2名であり中堅校・課題集中校は3〜10名となっている。しかし、中堅校が0〜2名が多く、グラフは左に偏っているのに対して、過大集中校は11〜21名が3割を越え右に偏ったグラフとなっている。全体として原級留置者が少なくなる傾向にあるとはいえ、課題集中校で原級留置者が多いことに変わりはない。


4.この11年間で教務規定はどう変わったか

(1)出欠席について
 出欠席に関する教務規定については、全体として緩やかになっている。しかし、授業時の遅刻・早退を欠席時数へ換算する学校(表4−1)が、多くなった。前回と設問がやや変わったが、換算する規定を作っている学校が2割と増えた。規定はないが個人で判断して換算している学校も含めると6割に達する。授業への遅刻・欠席の取り扱いが厳しくなった点は注目しておきたい。
 緩やかになったのは、家庭謹慎・登校謹慎を問わず、特別指導として謹慎を行っている生徒への対応である。家庭謹慎生徒の学校への出欠席の扱い(表4−2)は、前回は7割の高校で欠席としていたものが、今回は公欠(学校で公認した欠席で、出席扱いとする)も含めて、6割の学校で出席扱いとしている。授業に関しては、欠課扱いとする学校が88.9%から72.2%へ微減したことにとどまる(表4−3)。謹慎形態を登校とした場合(表4−4)は、HR・授業とも出席扱いが1割だったものが4校に1校に増えた。
 近親指導を欠席・欠課扱いしている場合には、年度末の進級・卒業判定でリミットを越えるケースが出てくる。前回と比較すると、考慮している学校が微増していて、考慮していない学校が減少している(表4−5)。無回答の学校を欠席・欠課扱いしていないと考えると、ほぼ半数の学校が考慮していると考えられる。


表4-1 授業時における遅刻・早退の欠席時数への換算
今回

%

実数 前回

%

1 遅刻を欠課に換算する規定がある 20.0 (23) 換算している 11.4
2 規定にはないが個人で判断して換算するケースがある 40.9 (47) 換算していない 88.6
3 規定にはないし個々にも行われていない 38.3 (44)
4 無回答 0.9

(1)



表4-2 家庭謹慎生徒の出欠席の扱い
今回

%

実数 前回

%

1 欠席扱い 27.0 (31) 欠席扱い 70.8
2 出席扱い 59.1 (68) 出席扱い 19.4
3 公欠扱い 0.9

(1)

公欠扱い 0.0
4 その他 10.4 (12) その他 9.7
5 無回答 2.6

(3)


 
表4-3 家庭謹慎生徒の授業の扱い
今回

%

実数 前回

%

1 欠課扱い 72.2 (83) 欠課扱い 88.9
2 出席扱い 14.8 (17) 出席扱い 2.8
3 公欠扱い 0.9 (1) 公欠扱い 1.4
4 通知表欠課・指導要録出席 0.9 (1) その他 6.9
5 その他 8.7 (10)
6 無回答 2.6 (3)

 
表4-4 登校謹慎生徒の出欠席の扱い10
今回

%

実数 前回

%

1 HR、授業とも出席扱い 21.7 (25) HR、授業とも出席扱い 11.4
2 HR出席、授業公欠 5.2 (6) HR出席、授業公欠 41.4
3 HR、授業とも欠課扱い 27.0 (31) HR、授業とも欠課扱い 34.3
4 その他 42.6 (49) その他 12.9
5 無回答 3.5 (4) 無回答

 
表4-5 欠席・欠課扱いしている場合の年度末出席考慮
今回

%

実数 前回

%

1 考慮している 40.9 (47) 考慮している 34.7
2 考慮していない 27.8 (32) 考慮していない 40.3
3 その他 9.6 (11) その他 5.6
4 無回答 21.7 (4)