(9)携帯電話

 携帯電話(PHSを含む)に関しては既に触れたが、ここでは費用について見ていきたい。携帯電話の費用を主に自分で払うのは課題集中校(64.5%)、中堅校(59.9%)、進学校(48.5%)の順で多くなっており、逆に親が支払う割合は進学校(50.2%)、中堅校(39.6%)、課題集中校(35.6%)の順になっている。
 一方、携帯電話にかかる費用として500円を超えての出費は課題集中校が多く、10001円以上は進学校2.6%、中堅校10.5%に対して課題集中校では25.5%にも達している。


(10)興味・関心

 興味・関心度に関して、宗教とファッションは、学校分類による有意な差は見られなかった(表は略)。また、進学校、中堅校、課題集中校の順で「関心がある」「やや関心がある」の両方に比率が高い項目は、「授業」「部活動」「世の中の動き」であり、その逆は「アルバイト」であった(表11)。(他の項目に関しては、表3もしくは表11を参照のこと。)

表11 次の各事柄へのあなたの興味・関心の度合いを4段階で答えてください
 授業 平均  校内の友人 平均  部活動 平均
 関心がある 34.4 11.7 9.0 15.5  関心がある 65.6 53.0 49.1 53.8  関心がある 39.4 28.8 18.6 27.8
 やや関心がある 41.7 39.0 38.2 39.7  やや関心がある 27.5 36.7 36.4 35.0  やや関心がある 24.2 18.3 16.0 19.1
 やや関心がない 17.5 29.9 34.7 29.0  やや関心がない 3.3 6.8 9.2 7.1  やや関心がない 16.4 18.4 16.7 17.6
 関心がない 6.4 18.8 17.3 15.4  関心がない 3.6 2.6 4.6 3.4  関心がない 20.0 33.0 47.4 34.8
 無回答 0.0 0.6 0.7  0.5  無回答 0.0 1.0 0.7 0.7  無回答 0.0 0.7 1.3 0.7
 計       100.0  計       100.0  計       100.0
 アルバイト 平均  校外の友人 平均  バイク・自動車 平均
 関心がある 26.1 34.1 36.8 33.2  関心がある 36.4 42.8 45.6 41.6  関心がある 26.7 29.5 42.8 36.3
 やや関心がある 33.9 39.8 43.8 40.4  やや関心がある 41.7 38.9 38.4 39.7  やや関心がある 32.2 29.9 30.3 30.8
 やや関心がない 20.6 16.6 11.8 15.6  やや関心がない 17.8 12.0 10.1 13.3  やや関心がない 20.0 17.0 15.1 17.4
 関心がない 18.0 8.8 7.2 10.2  関心がない 3.9 5.0 5.0 4.6  関心がない 20.6 12.9 11.2 14.9
 無回答 0.6 0.7 0.6 0.6  無回答 0.3 1.2 0.9 0.8  無回答 0.6 0.8 0.6 0.7
 計       100.0  計       100.0  計       100.0
 成績 平均  将来の仕事・生活 平均  世の中の動き 平均
 関心がある 44.2 40.3 31.3 38.5  関心がある 73.9 68.5 56.3 66.3  関心がある 23.6 15.8 14.5 17.1
 やや関心がある 33.3 38.9 44.7 39.6  やや関心がある 17.2 23.6 29.4 24.1  やや関心がある 45.3 41.6 37.0 40.9
 やや関心がない 13.6 14.3 13.2 13.6  やや関心がない 6.9 5.8 10.1 7.0  やや関心がない 20.6 26.3 28.3 26.1
 関心がない 8.3 5.9 9.7 7.5  関心がない 1.7 1.8 3.5 2.3  関心がない 10.3 15.4 19.7 15.2
 無回答 02.6 0.7 1.1 0.8  無回答 0.3 0.3 0.7 0.4  無回答 0.3 0.9 0.6 0.6
 計       100.0  計       100.0  計       100.0


(11)最後に

 今回、学校を3分類したことによって見えてきたことは中堅校の問題である。学力的には中堅校は進学校と課題集中校の中間的な位置にあるゆえに、生活意識に関してもそれと同じようだと思われがちだが、全体的には課題集中校に吸引される形で、しかもいくつかの項目(授業中の漫画・中抜け・化粧、教師への暴言や飲酒への抑制意識の希薄さ)においては課題集中校を越えての高い比率を示した。これは中堅校の生徒もまた既存の学校文化とは相容れない意識を形成していることになろう。
 こうしたことを考慮するなら、学校問題が課題集中校だけの問題ではなく、中堅校にも及んでいるといえよう。しかも中堅校では授業や教員変の満足度も他と比べて低い状況である。この問題に関しては、中堅校において学校のランクが下がらないように、教科に関しても生活指導的なことに関しても進学校や課題集中校よりも厳しい指導が行われている結果なのではないかと考えられる。
 また、進学校がこうした動向と無縁なのかというとそうではなく、前述のように、学校をやめたいと思ったことが、「良くある、時々ある」と答えた者のうち、「学校・クラス・友人になじめない」の比率が中堅校や課題集中校より高くなっていることなどは、高校生の一部ではなく全体的な意識傾向が、脱学校的なものへとシフトしているように思われる。以上のようなことを考慮すれば、学校が何らかの改革を行わなければ生徒とのずれはさらに進行するだろう。しかし、問題なのはこうした生徒の意識の何に焦点を当てるかということになると思われる。

 この調査は、全日制県立高校の主として2年生を対象に、アンケートに記入してもらう方式で行ったものです。時期は2000年2月、協力を得た学校数は27校、回答を得た生徒数は1,940人でした。学年末のあわただしい時期に、ご協力をいただいたことに感謝いたします。
 また、集まったアンケートの集約にあたっては、東京工業大学矢野研究室に協力をお願いいたしました。貴重な時間を割いて、協力してくださった矢野研究室の方々に感謝いたします。
 なお、研究所内では、金澤、粒来、手島、本間が、この調査を担当しました。

今回の調査において、強力を得た学校(順不同)

翠嵐 平安 荏田 霧が丘 神奈川工業 保土ヶ谷 和泉 清水が丘 野庭
豊田 釜利谷 大師 川崎 百合丘 柿生西 逗子 大津 湘南 大清水
高浜 茅ヶ崎西浜 厚木 大和南 弥栄東 上溝 西湘 城東