「表1」に「特色ある高校」の設置状況を、文部省の調査結果をもとに独自に集計し直して、「2000年度までに設置」と「2001年度以降に設置へ向けて準備中」とに分けて整理してみた。すべて全日制の公立高校について調べたもので、定時制高校や普通科専門コースのデータは調査はされているが、割愛した。
「2000年度までに設置」された総合学科高校は126校、単位制高校が39校となり、今後、総合学科高校は学区に1校程度設置するとしている県が多い。総合学科高校について、すでに2000年度まで5校以上設置している県は、宮城、三重、兵庫、広島の4県で、その中で広島が13校と圧倒的に多い。学区数(「表2」参照)との比較をすると、宮城が14学区に5校、三重が3学区に5校、兵庫が17学区に6校、そして広島が15学区に13校となっている。三重と広島は、単位制高校もそれぞれ5校設置していて、三重はさらに総合学科高校1校準備中という。この2県のように総合学科高校と単位制高校をトータル数で1学区1校を超えて設置している県は、他に石川、鳥取、島根の3県があげられる。石川は3学区のところに総合学科高校4校、単位制高校3校を設置していて、さらに総合学科高校を3校準備中であるという。鳥取は3学区のところに総合学科高校3校、単位制高校1校を設置していて、さらに単位制高校を2校準備中である。島根は2学区のところを総合学科高校3校設置していて、同じく総合学科高校を2校準備中である。
総合学科高校と単位制高校に「新タイプ校」(総合選択制高校やコース制高校などの新しいタイプの高校)を加えて学校数が学区数を超える県は、上記以外に7県を数える。表にまとめてみると以下のようになる。
県名
|
学区数
|
総合学科高校
|
単位制高校
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新タイプ校
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栃木
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7
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3
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0
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6
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群馬
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8
|
3
|
1
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5
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埼玉
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8
|
4
|
3
|
4
|
奈良
|
3
|
1
|
1
|
2
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徳島
|
3
|
1
|
1
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8
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香川
|
2
|
2
|
0
|
4
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佐賀
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4
|
2
|
1
|
2
|
しかし、これらの高校で2001年度以降にも新タイプ校を設置する県は香川の総合選択制高校1校にとどまる。他に新タイプ校を設置予定の県は、東京4校、鳥取3校、大阪2校などが目立つ程度である。
次に、特色ある職業学科や専門学科をもつ高校をみてみよう。文部省の調査では学科ごとに別々に調査しているため、私の統計では、複数の特色ある学科をもつ同一校は1校として数えた。逆に、「理数科」「英語科」など同じ学科が複数校に設置されている場合は、学校数を数えている。特色ある学科をもつ学校数が合計で多い県から取り上げていくと、千葉49校、大阪48校、新潟31校、岐阜31校、熊本29校、北海道27校で、あと23校の埼玉、兵庫、福岡、沖縄の4県が並ぶ。しかし、これらの県で2001年度以降も新たな学科をもつ高校を設置する予定のところはない。既設の高校に新学科を設置したり、既設の学科を改編したりする計画の県は存在するが、職業学科・専門学科を統合して総合学科高校へ再編する傾向がうかがえる県がある。ただ、鳥取については、新タイプ校3校の設置とともに、特色ある職業学科を7校に、特色ある専門学科を4校に設置する計画である。 こうして見てくると、東京、神奈川の現在の再編計画の規模の大きさが浮かび上がってくる。「表1」に表れている東京の2001年度以降の準備中の校数は、計画全体を網羅したものではないので、計画数をまとめると次のようになる。1997年9月に都立高校改革推進計画の長期計画(1997〜2006)と第一次実施計画(1997〜1999)を発表、1999年10月に第二次実施計画(2000〜2002)を発表した。第三次計画(2003〜2006)は今後発表される予定だが、長期計画では総合学科高校を14学区のうち島しょ部を除く10学区に各学区1校程度設置するという。定時制のチャレンジスクールも総合学科で5校の設置を予定している。単位制高校は23校設置予定で、第二次計画までに11校設置して、残り12校は第三次計画で設置予定である。神奈川の2001年度以降の準備中の校数も、前期計画の数字(総合学科高校の8校の中には横須賀市立高校1校が含まれていて、単位制高校にはフレキシブルスクール3校が含まれている)であり、長期計画では総合学科高校が14校程度、単位制普通高校が8校程度、フレキシブルスクールが3校、新たな専門高校が4校程度生まれることになっている。学校数が学区数をはるかに上回ることになる。