●特集 T● 「神奈川の高校教育の未来を考える」
好機なり、 取り組むべし!

 田上 英輔
 軽く戸惑いを覚えた。
定時制・通信制の実情を踏まえない、 全日制主導の 「現状維持的」 「保守的」 な発言をいくつか感じたからである。

 曰く、 「労働強化につながる。 労働組合として取り組みを!」
 もっともである。 だが、 現時点で労働強化のしわ寄せを食らっている、 定時制・通信制の立場は?
  「 8 〜10クラス標準」。 確かに大問題である。 一律に実施されてはたまらない。
 だが、 「進学重点校」 とか称される、 一部トップ校にはぜひ受け入れてもらいたい。
 トップ校が 2 クラス増えれば、 2 番手校に 3 番手校に末端に、 入れる子が増える。
 定時制・通信制に不本意入学する生徒を減らすことができる。
  「神奈川の子を、 神奈川の公立高校で引き受ける! 全日制進学率全国最低を脱する!」
 その気概を、 我々現場教員こそが示すべきである。
 そのためには、 一部トップ校で率先して 「10クラス」 を受け入れるべきである。

 曰く、 「若い先生たちは恐ろしいほど物事を知らない」 「かつての高校改革時のような、 主体的・自主的な取り組みができるのか」。
 これももっともである。 でもだからこそ、 若手育成・現場活性化のチャンスでは?
 10年前・20年前、 我々も、 未成熟・不勉強な若手ではなかったのか?
 赴任校の現状に怒りと不満を抱いたからこそ、 「生徒のために何とかしなければいけない」 という、 今の志を抱いたのではないか。
 否が応でも改革に乗り出さざるを得ない、 この事態を好機と考えなければならない。
 ここを乗り越えなれなければ、 組織拡大などあり得ない。
 識者主導の改革を許すな! 現場の声を組織して、 「下からの改革」 を成し遂げよう!

 報告書は語る。 「定時制を単独校に!」。
 賛成! 併置校の多くが、 全日制に迫害され差別され圧迫されている現状を解消しよう!
 そのためには、 上位校のクラス数を増やし、 (旧称) 底辺校を整理統合して、 敷地をあけなければならない。
  「定時制単独校が当たり前!」 という神奈川をつくるために、 「(上位校においては) 8 〜10クラス標準」 は受け入れるべき方向性と考える。

 報告書は語る。 「通信制のシステムを全日制に貸し出し、 中退者を減らす!」。
 賛成! そもそもなぜ、 「全日制をあきらめ、 通信制に移ってくる」 子が多いのか?
 毎年12月頃問い合わせがある。 「 1 科目だけ、 ●●の出席時数が足りない。 でも、 卒業間近の生徒であり、 留年させるに忍びない。 修悠館に転学させて、 卒業させられないか?」
 それならば校内措置で、 不足出席日数を補い、 卒業させる努力をせよ!
  「でも校内規定が……」。 ならば 「定通併修」 に準じて、 「全通併修」 の協定を結ぼう。
 卒業が、 進級が、 苦しくなった時点で、 当該科目を 「全通併修」 に切り替え、 修悠館のレポートに取り組むことで単位認定をしていこう。
 通信制の 「最低出席回数」 は、 世界史Aで 2 回、 体育 2 単位でも10回である。 多くの該当生徒が、 「最低出席回数」 は満たしているのではないか? あとは 「学習成果」 として本校のレポートをこなしてくれれば良い。
 みな、 「望んで入った学校を卒業したい」 はずである。 無理に 「通信制に転学」 させるのではなく、 「入った学校を卒業できる」 システムを構築しよう。
 今次報告書には、 悔しいながらその意味で先見の明がある。

 報告書は語る。 「通信制+フレキシブルスクール」。
 面白い! 試みる価値は大いにある。
 修悠館のウリの一つは、 「平日登校講座」 である。
 だが 「平日登校」 を望む生徒の多くは、 「普通に昼の学校に行きたかった」 生徒である。
 ならば、 修悠館 「平日生」 を、 併設フレキシブル 「昼間定時制」 生徒にしてしまおう。
 職員定数は定時制なみ (当たり前!)。 現状より手厚い指導が可能である。
 現 「平日登校講座」 が、 通信制教職員定数 (生徒100人に教員 1 人) で四苦八苦している矛盾を解消できる可能性がある。
 だが不安はある。 「定時制の必要登校日数をクリアできるか?」。
 ご安心あれ! 同じ敷地内の同一校である。 当然、 「定通併修」 協定は結ばれている (に違いない)。 定時制カリキュラムが負担になった時点で、 通信制併修に移行すればよい。
 不本意転学・不本意編入を減らそう! 

 でも結局は出たとこ勝負。 コストカット優先の権力に押し切られてしまうのか、 現場の声を反映させた改革を曲がりなりにも実現できるのか。
 暴れどころを与えてくれたことに感謝! 好機なり、 取り組むべし!

 
(たがみ えいすけ 横浜修悠館高校)

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