●特集T● 研究所独自調査
教員の意識調査本報告

 教育研究所では、 2012年の10月に 「教員の意識調査2012」 を実施した。 11月に 「ゆらぐ教員世界」 というテーマで研究所討論集会を開き、 その場でこの調査の集計結果についての報告もおこなった。 そして翌年の 5 月に発刊した研究所所報 「ねざす」 51号に、 中間報告を掲載した。 それを受けてここで調査の本報告をしたい。
 
「教員の意識調査」の分析
はじめに
 教員の意識に関わる同じような調査は2003年にもおこなっている。 2003年の調査は 「教育改革期における」 という位置づけをしていた。 その前年には完全学校五日制も施行されていた。 また、 いわゆる教育改革の進行により、 学校現場で取り組まなければならない業務内容もやり方もこれまでとは大きく変わってきていた。 そうした状況の下で教員の意識がどう変わってきているかを見ようとしたのが前回の調査であった。
 では今回の調査はどういう位置づけになるのか。 前回の調査以後、 総括教諭制度の導入、 それに連動した企画会議の設置等、 学校運営体制は大きく変わってきた。 当然それにともなう意識の変化もあるだろう。 昨年の中間報告では、 総括教諭制度導入にともなう意識変化とその問題を中心に調査結果を報告した。 今回は、 そこからさらに進んで、 全体的な報告をまとめたいと考えた。 いまはかつて進められた百校計画の時代に採用された多数の教員が定年を迎え退職していく時期である。 それと同時に若い教員の採用もこれまでとは比較にならないほど増えてきている。 つまり教育現場における世代交代が急速に進んでいる時期である。 年齢あるいは教職経験の長さによる意識の違いも予想できる。 そこで今回の報告は、 前回 (2003年) の調査との比較も入れながら、 主として年代の違いに注目した分析をすすめることとした。
 調査の中では部活動の負担や教育活動に充てる時間の不足を訴える回答も多かった。 その辺りの背景を探るために、 ある高校の教職員の人員数の変化等を見るための資料を補足した。 さらに今後の研究の参考にする意味も含めて全体的分析とは違った角度からの感想なども寄せてもらった。 分析結果と合わせて読んでいただけたらありがたい。
  1. データについて
     今回の調査で各校にお願いした調査用紙は1520であった。 回答を寄せてくださった数は 971であり、 回収率は63.9%であった。 2003年の調査における回収率は49.9%であり、 今回は大幅に上昇した。 お忙しい中でのご協力に感謝したい。 ただ定時制と通信制についてはそれぞれ40、 10という少ない数であり、 また教職経験年数についても11〜15年が38、 16〜20年が37とこれも大変少ない数になってしまった。 いずれも対象とする数が少なかったためであるが、 これらのグループについては他との比較等がむずかしい結果になってしまった。 せっかく回答を寄せていただきながら十分に活用できなくなってしまったことをお詫びしなければならない。 また20歳代の数は2003年の時点では14と極端に少なかった。 今回調査の20歳代の数は127になるが、 この年代について2003年と比較することはむずかしいと言わざるを得ない。
  2. 勤務状況等
    1. 超過勤務についての項目
        「勤務時間の前後にどのくらい学校で超過勤務をしていますか」 という質問に対する答を見ると、 2012年は全日制で 1 時間未満が26%、 2 時間以上が29%となっている。 同じ質問に対する答えは、 2003年では 1 時間未満が43%、 2 時間以上が13%であった。 この10年ほどでの超過勤務の増加は著しい。 そして年代間で比較すると、 若い層ほど負担は大きくなっている。
        「一ヶ月間で、 土曜日、 日曜日、 祝日に、 平均してどのくらい部活出勤しましたか」 という質問に対する答えを見ると 、 2003年には 「なし」 が33%もあったのに対し、 2012年には 「なし」 が21%と減っている (全日制)。 反対に 7 日以上部活出勤していたという答は2003年には 5 %だったが、 2012年には10%になっている。 ここでも20代の 「なし」 は11%にすぎず、 7 日以上は18%にもなっている。
       全体としてみて、 ここまで超過勤務があるということは大きな問題だろう。 同時に、 なぜ年代による大きな差ができるのか、 これも大きな問題だろう。 勤務の公平性の確保という観点から、 注意を払っていく必要がある。 また総括教諭の超過勤務時間は他と比較して長くなっている。 総括教諭は 1 時間半以上が63%、 他の教諭は43%、 総括教諭は30分未満が 1 %、 他の教諭は10%となっている。 中間報告でも指摘された総括教諭制度の問題を考えるならば、 総括教諭の勤務が特別なものになっていく状況は看過すべきではないと思う。
    2. 担当科目数についての項目
        「今年度何科目 (何種類) 担当していますか。」
       5 科目、 6 科目といった科目 (種類) を担当している人がいることに驚かされる。 担当科目数には校種間による偏りが大きい 。 3 科目 (種類) 以内に収まっている教員は、 普通科では88%もいるのに、 専門学科では44%、 総合学科では41%にとどまっている。 また学年制をとる学校では、 3 科目以内に収まっている教員は85%もいるのに、 単位制をとっている学校では48%にとどまっている。 別の観点で見ても学校間の違いは大きい。 退学者の多い学校とそれ以外の学校を比較してみると、 退学者が比較的に少ない学校では、 81%の教員が 3 科目以内に収まっているのに対し、 退学者が多い学校 ( 3 年間で60人以上) では 3 科目以内に収まっている教員は55%と少なくなる。 さらに、 いわゆる高校改革における再編校と非再編校で比較すると、 非再編校では86%の教員が 3 科目以内に収まっているのに対し、 再編校では49%にすぎなくなる。 それぞれの科目について、 教材を研究し、 授業の準備し、 様々な観点から評価し、 試験問題を作成する。 何科目程度を担当することが可能か、 それは何とも言えない。 しかし、 教員はいくつもの科目を担当する以外に、 総合的な学習の時間も引き受け、 ホームルーム担任もつとめ、 部活動を指導し、 様々な校務を分掌している。 担当する科目の数の多さが大きな負担になることは否定できない。 とくに経験年数の少ない教員にとっては多くの科目を担当することが重い負担になっている可能性が高い。
    3. 職専免研修日数について
        「2012の夏休みに 「職務専念義務を免除される」 研修をどのくらいとりましたか」
       各年代で70から80%の人がゼロ日と答えている。 とっている人でも 1 日 2 日にとどまり、 7 日以上という人はほぼいない。 今見たように、 多くの科目を担当し、 教材研究だけでも相当の負担が考えられる状況があるにもかかわらず、 長期休業期間中の自主的な研修がほとんどとれていないという事態は問題である。
  3. どの様な理由で教員になろうと思ったか
    1. 自分が教わった教員の影響
       自分が教わった教員の影響で教員になったという人は多く、 どの年代でも50%を越えている。 中でも20代でその比率はとくに高くなり77%に達する。
    2. 専門分野の研究を続けたい
       多くの教員が 「専門分野の研究がしたくて教員になった」 と答えている。 50代が一番多い (57%) が、 20代も同じような数値 (49%) であり、 年代による大きな差はない 。
    3. 部活動の指導がしたかった
       2003年調査に比べて多くなっている (全日制で21%から32%に上昇)。 年代による違いもみとめられる。 20代では47%が教員になった動機を部活動に求めているのに対し、 50代では28%に下がっている。 40代が32%、 30代が36%という数字を見ると、 とくに20代が高い。 この回答が2003年の調査よりも多くなった理由のひとつも、 20代の数が増えたところにあるのかもしれない。 また、 この項目では性別による違いも目立っている。 男性で教員になった動機を部活動に求めたものが39%いるのに対し、 女性では18%にとどまっている。
    4. ふれあいを望んだ
       あらゆる年代で多く、 80%前後になっている。 その意味ではほとんどの教員が 「ふれあいを望んで」 この職を選んだと言ってもよい。 ただし 「とてもそう思った」 という答を選んでいる割合をみると、 20代で54%と非常に高く、 年代が上がるにつれて減少し、 50代では24%に下がっている。 たしかに 「まあそう思った」 まで含めれば大きく変わらないとはいえ、 強弱については年代による違いが大きい。 また 「ふれあい」 という言葉の意味も多様であり、 すべての教員が同じようにとらえているとは思えない。 たとえば部活動への強い志向を持っていると層であれば、 部活動を通した 「ふれあい」 を考えているのかもしれないし、 また教科活動や進路に向けてのとりくみを通しての 「ふれあい」 を想定している層もあるかもしれない。
    5. 時間的ゆとりがあるから
       50%ほどの教員が 「時間的ゆとりがある」 と思って教員になっているが、 年代では大きな違いがある。 20代では 「時間的にゆとりがある」 と思って教員になった者は11%にすぎない。 それに対し、 50代では66%の者がそう思って教員になっている。
    6. 安定した収入、 処遇
       すべての年代でそう考えて教員になった割合は高い。
    7. 利潤を追求しないのでよいと思った
       年代が若くなるについて割合が下がっていく。 50代で75%を占めていたものが、 20代では47%に下がっている。

     教員になろうとした動機について見ると、 年代をこえた共通性と微妙な違いを見ることができる。 教員は自分が教わったときの教員をモデルにして教職をイメージしている。 そして各自の専門分野の勉強、 研究を続けたいと思って教員になったものが多い。 また 「生徒とのふれあい」 を望んで教員になったという意識も強い。 ここまでは年代による大きな差はない。 部活指導への関心から教員になったという答えは、 若年層で多くなっている。 この年代が高校を受検するころ、 神奈川県も含め全国的に高校入試がかわってきた。 とくに部活動を含めた特別活動が、 推薦入試ばかりではなく一般入試でも重視されるようになっていった。 学校教育の中にしめる部活動の重みが年代によって違っている可能性も考えることができる。
     職の処遇への関心に目を移すと年代による違いは徐々に大きくなる。 安定した収入、 処遇に魅力を感じたという答えは高年層の方がやや高くなっている。 さらに時間的余裕への期待になると、 50代では 「まあそう思った」 まで加えると66%に達し、 20代では11%にすぎない。 また、 「利潤を追求しないのでよい」 というところに魅力を見いだすかどうかについても、 年代による大きな違いがあった。 教職の特殊性とでも言うべきものへの感覚に違いが生まれているのだろうか。
  4. 高校教員の仕事をどう評価しているか
    1. 社会的に尊敬される仕事
       2003年調査と大きくは変わらないが、 どの年代でもわずかながら 「尊敬される仕事」 という受け取り方が増えている。
    2. 経済的に恵まれた仕事
        「恵まれている」 という認識は男性よりも女性の方が高い (35%対50%)。 また40代が他の年代よりも恵まれているとする感じ方が多く、 「まあそう思う」 を加えると51%に達している。
    3. 精神的に気苦労が多い
       精神的に気苦労が多い仕事、 と考える割合はどの年代でも高く、 2003年と比較してもほとんど変わらない。
    4. 専門的で高度な知識や技能が必要
        「とてもそう思う」 「まあそう思う」 をあわせるとどの年代でも70〜80%とだいたい同じような水準になっている。 「とてもそう思う」 は20代でもっとも多く38%になる。
    5. 自分で決めることの範囲が広い自律的な仕事 (2003年にはない項目)
       これも 「とてもそう思う」 「まあそう思う」 をあわせるとどの年代でもほぼ半数と同じような水準になっている。 ただし50代の層でやや下がって、 43%となっている。
    6. 体力のいる仕事
        「とてもそう思う」 「まあそう思う」 をあわせるとどの年代でも90%前後の高水準になっている。 「とてもそう思う」 で男女の差が大きい (男性36%女性54%)。 また、 20代で 「とてもそう思う」 が55%となっており、 他の年代よりも高くなっている。 20代の体力的な負担が大きくなっているのだろうか。
    7. 生徒と接する喜びのある仕事
       これも 「とてもそう思う」 「まあそう思う」 をあわせるとどの年代でも90%前後の高水準になっている。 ただし 「とてもそう思う」 に限ると年代が若くなるほど高くなっている。 反対に年代が高くなるほど、 「何とも言えない」 という答が増えてくる (50代で13%)。
    8. 使命感がなければ出来ない仕事 (2003年にはない項目)
       これも 「とてもそう思う」 「まあそう思う」 をあわせるとどの年代でも70〜80%台の高い水準になっている項目である。 年代が上がるにつれて肯定的な答えが若干減少するが、 それでも50代で73%に達している。
     ここから浮かび上がってくる教員像はこんなところであろうか。 多くの教員が精神的に気苦労の多い仕事だと思っている。 また、 高度な知識や技能も体力も必要だとも感じている。 そして生徒とふれあう喜びのある仕事という意識も、 使命感を必要とする仕事という意識も、 大部分の教員が共有するところである。
     2003年の調査と比較してみても大きな違いはない。 教員の仕事に対する批判的な報道等を目にすることも多く、 また免許更新制も導入され教員の位置づけが大きくゆらいでいるように見える。 それにもかかわらず、 このデータを見る限りではこの10年ほどの間の教員の職業意識にそれほど大きな変化はおこっていない。
     ただし年代による多少の強弱の違いはある。 高度な知識や技能も体力も必要という思いは、 若年層の方が強く高年層になるとやや弱まる。 また生徒とふれあう喜びのある仕事、 使命感を必要とする仕事という意識も、 年代が高くなるにつれてその思いはやや弱まっていく傾向にある。
  5. ふだんどのように感じているか
    1. 出勤時間になると気が重くなる
        「いつも感じる」 「時々感じる」 を合わせた数値は、 20代39% 30代47% 40代43% 50代52%と年齢が上がるにつれて高くなる。 50代の大半が、 時々ではあっても出勤時に気が重くなるというのは高い数字だと言わなければならないだろう。 しかし20代でも 4 割近くがそうした感じ方をしているというのもけっして低い数字とは言えないだろう。
       また、 学力向上重点校だけを取り出してみると、 「いつも感じる」 「時々感じる」 を合わせた数値は39%となり、 その他の学校の49%よりも低くなる。 この後の 「生徒とのふれあいを苦痛に感じる」 という問においても、 学力向上重点校を取り出してみると、 「いつも感じる」 「時々感じる」 を合わせた数値は20%となり、 その他の学校の30%より低くなっている。 ただし、 「授業を意欲的に出来ない」 においては、 40%と43%と大きな違いは認められなかった。
    2. 教員を辞めたい
        「いつも、 時々感じる」 という割合が50代で58%にも達する。 2003年にもこの項目では50代で56%が同じように答えていた。 この様な高い数値になる理由についてはさらにその経緯にまで立ち入った調査が必要であろうが、 今の時点で可能な考察を若干加えてみる。 図16は、 「学校運営に関わっている感じがしない」 という意識との関連を探ったものである。 これを見ると、 「学校運営に関わっている感じがしない」 という意識と 「辞めたい」 という意識に重なりがあることが分かる。 つまり、 「学校運営に関わっている感じがしない」 と思っている人ほど、 「教員を辞めたい」 と感じている。 「辞めたい」 という意識が、 たんに仕事が忙しい、 大変だということとは違う、 職場のあり方に関わって生じている可能性を指摘しておきたい。
       また20代の23%という数値も低いとは言えない。 採用されたばかりにもかかわらず、 ほぼ 4 人に 1 人が 「やめたい」 と思うことがあると答えているのである。
    3. 授業を意欲的に出来ない
       授業を意欲的にできず、 生徒とのふれあいを苦痛に感じるのも高年者が高い (「いつも感じる」 「時々感じる」 をあわせて49%)。 しかし、 授業に意欲的にとりくめないと時々感じている答が20代でも31%ある。 これもけっして低い数字ではない 。
    4. 生徒とのふれあいを苦痛に感じる
       この項目は年齢による違いが大きい。 20代では 「いつも感じる」 はゼロ、 「時々感じる」 が15%なのに対し、 50代は 「いつも」 「時々」 をあわせて35%になっている。 先に紹介したように、 50代の教員であっても大部分が 「生徒とふれあう喜びのある仕事」 と教職をとらえていた。 ところが現実には、 その中のかなりの人が 「ふれあい」 に苦痛を感じているという結果になっている。
    5. コンピュータの仕事が苦痛
        「いつも、 時々感じる」 の割合には年齢差がある。 30代が最も少なく18%、 20代は25%、 40代で42%、 50代は49%になる
    6. 部活動の負担が重い
        「いつも、 時々感じる」 の割合は当然のことながら全日制が多い。 また年代による大きな差も認められない。
    7. 部活をもっとやりたい
        「いつも、 時々感じる」 の割合は年齢が若くなるほど高くなる。 また女性よりも男性の方が部活動をもっとやりたいという答えが多くなっている。 教員を目指した理由における部活動の回答と傾向は一致している。
    8. 教材研究や授業のやり方を工夫する時間が欲しい
        「いつも、 時々感じる」 の割合はどの層でも多い。
    9. 基礎学力を保障する取り組みが不足
        「いつも、 時々感じる」 という割合はどの年代でも多い。 あとで触れるように、 2003年と比較が可能な40代、50代の層で見ると、 この10年近くの間に 「いつも感じる」 という回答が増えている。 また 「学力向上重点校」 に該当する学校のこの数値は74%であり、 それ以外の学校の87%に比べるとやや低くなっている。
    10. 生徒と接する時間が足りない
        「いつも、 時々感じる」 という割合は、 年代を問わず高い比率になっており、 年代による差はみとめられない。
    11. 忙しすぎてゆとりがない
        「いつも感じる」 と 「時々感じる」 を合わせて見ると、 年代を問わず高い比率になっている。 ただ20代では81%と他の年代よりも10%ほど下がっている。 また 「いつも感じる」 という回答に限定すると、 年代が上がるにつれて増えており、 年齢が高い方が忙しさ、 ゆとりのなさをより強く感じているという傾向がうかがえる。
    12. 仕事の負担がアンバランス
        「いつも感じる」」 と 「時々感じる」 を合わせた割合は高く、 どの年代でも90%以上になっている。 ただし、 「いつも感じる」 という回答に限ると差があり、 若い年代ほど強く感じている傾向がうかがえる。
    13. 学校運営にかかわっている感じがしない
       この項目については年代による差が見られる。 「いつも感じる」 「時々感じる」 という答を合わせると、 20代で40%、 50代で65%になっている。 また、 総括教諭とそれ以外の教諭でも大きな差 (31%と61%) があり、 職による感じ方の違いがあるようである。
    14. 教員の間で教育観や教育方針に関する議論が少なくなっている
       この項目についても年代による差が見られる。 「いつも感じる」 「時々感じる」 という割合は20代では合わせて66%であるが、 50代では93%に達している。
    15. 教員間で生徒に関する情報が共有されていない
       この項目についても年代による差が見られる。 「いつも感じる」 「時々感じる」 という割合は20代では37%にとどまるが、 50代では60%に達する。
    16. 同僚にどう思われている気になる
       20代では35%、 50代では22%と20代で気にする割合がやや高くなっている。
    17. 職員会議での議論が尊重されていない
        「いつも感じる」 「時々感じる」 をあわせると、 尊重されていないと感じる割合はどの年齢層でもかなり高い。 20代で66%、 30代で63%、 40代で74%、 50代では81%にもなる。 総括教諭では低くなり55%に下がる。 「学校運営にかかわっている感じがしない」 という問と同様、 ここでも職による感じ方の違いが見られる。 それでも総括教諭の大半が 「尊重されていない」 という感じ方をしているのである。
    18. 教員への管理が強く仕事がやりにくい
       年齢差が大きい。 「いつも」 「時々」 をあわせると、 20代では35%にとどまるが、 50代では81%に達する。 その他の教諭では80%であるが、 総括教諭の場合には57%と下がる。 それでも総括教諭の大半が 「管理が強くやりにくい」 という意識を持っていることは注意すべきだと思う。
    19. 教員の仕事への評価が下がっている
        「いつも感じる」 「時々感じる」 をあわせると、 尊重されていないと感じる割合はどの年齢層でもかなり高く90%前後になる。 20代が比較的低いが、 それでも79%である 。 先ほど見たように、 「高校教員の仕事の評価について」 聞いたところでは、 多くの教員が 「社会的に尊敬される仕事」 だと受け止めていた。 それにもかかわらず、 教員の仕事への評価は下がっているとも見ているのである。 職業としてはそれなりに尊敬されながらも、 じっさいの仕事内容については厳しい評価になっているということであろうか。
    20. 授業などでの発言が保護者や外部からどう思われるか気になる
       ここでも多少の年齢差がある。 20代では52%と高く、 50代では41%とやや低くなっている。 「同僚にどう思われている気になる」 という項目とあわせて考えると、 若年層は他からの評価を気にする傾向が、 高年層よりもやや強いとえる。
     以上の 「感じ方」 を問う各項目への回答傾向は年代によるちがいがめだつ。 「出勤時間になると気が重くなる」 「教員をやめたい」 という質問については、 年齢が高い層の方が強く感じている。 ただし20代でも40%弱の教員が 「出勤時間になると気が重くなる」、 そしておよそ 4 分の 1 が 「教員を辞めたい」、 と少なくとも時々は感じている。 「授業を意欲的に出来ない」 「生徒とのふれあいを苦痛に感じる」 という、 いわば教育活動の根幹に関わる項目に関して、 50代は意欲の減退や苦痛を感じるようになっているようである。 またこの年代が、 学校運営に関する疎外感を強く感じ、 職場での議論や意思疎通にも問題を感じていることにも注目すべきだろう。 またこの辺りの感じ方については、 総括教諭と同年代の他の教諭の間にズレが生じているようでもある。 他方、 若年層には外からの評価を気にかけている傾向も見える。

     ここで様々な問題を感じている年齢の高い層についてさらに見るために、 2003年の調査との比較をおこないたい。 2003年の調査における40代のグループと2012年の調査の50代グループの比較である。 もちろん同じ人が答えているわけではないが、 同年代で共有している意識がどのように変化しているかを多少見てみたい。
     教員になった動機や仕事に対する意識についての質問にさかのぼってみても、 2003年から2012年にかけての目立った変化はみられない。 「出勤時間になると気が重くなる」 「教員を辞めたい」 という項目まではさほど大きな変化はない。 しかしその後になるといくつかの項目で目立った変化が見られるようになる。
     10年の間に生徒とのふれあいについて苦痛に感ずる割合は上昇している (「いつも」 「時々」 を合わせて23%から35%へ)。 この十年の間に教員の側に変化があったのか、 生徒の側に変化があったのかはわからない。 いずれにせよ生徒とのコミュニケーションがこれまで以上にとりづらくなっていることはたしかである。
     またコンピュータを扱う仕事に対する苦痛についても、 若干ではあるが 「苦痛を感ずる」 が増加している (43%から50%へ)。 技術的な問題で言えば慣れてきて減少するはずである。 それにもかかわらず 「苦痛を感ずる」 が減少せずにむしろ増えている。
     生徒の基礎学力を保障するとりくみの不足については、 「時々感じる」 までをふくめた数値は2003年の84%、 2012年の85%であり、 大部分の教員が何らかの不足を感じているという傾向はかわっていない。 しかし、 「いつも感じる」 についてみると、 32%から43%へ上昇しており、 より強く感じる傾向が見えている。 次に続く年齢層、 2003年の30代から2012年の40代においても同じような傾向が見られる。 この層では 「いつも感じる」 が26%から39%に 5 割方も上昇している。
     こうした項目よりも顕著な変化をしめしているのが、 教員の間で教育観や教育方針に関する議論が少なくなっているという意識の変化である (図34)。 「いつも感じる」 という答が25%から51%に倍増し、 「時々感じる」 までを含めた数値も、 78%から93%へと上昇している。 この10年ほどの間に50代の教員のほとんどが、 議論しなくなったと感じる状況になったのである。 30代から40代へのグループでも同じ傾向が出ている。 「いつも感じる」 が14%から36%と大幅な増加になり、 「時々感じる」 まで含めると76%から89%に増えている。
     他方、 教員への管理が強く、 仕事がやりにくい、 という意識について言えば、 「時々感じる」 まで含めた数値は97%から81%に低下しただけであるが、 「いつも感じる」 という答は78%から34%に半減している。 30代から40代についても同じ傾向が確認できる。 この層では 「いつも感じる」 が67%から23%に、 「時々感じる」 まで含めても94%から64%へ低下している。 管理へのいわゆる 慣れ や 諦め があるのかもしれない。 あるいは、 長期休業期間中における研修のあり方や職員会議の位置づけなどがかわった2003年の変化が、 より大きなものと受け止められたのかもしれない。 いずれにせよ、 数字を見る限りでは、 管理に対する抵抗感が弱まっていることは確認できる。
  6. さまざまな制度 (施策) についてどう感じているか
     制度的な項目についての質問であるが、 それぞれの言葉の意味のとらえ方も多様であろう。 また 「反対」 と答えていても、 理念として反対している場合もあれば、 実際に行われている現状に反対だという場合もあるだろう。 そこを明確にして聞くことができないままになってしまった。 その不十分さはお詫びしなければならないが、 とりあえず数値だけを見ていく。
    1. 学校五日制
        「とても賛成」 「やや賛成」 をあわせると、 肯定的な意見が多い。 多少の年齢差はあるが、 それでも50代が79%、 20代が70%と大きな違いはない。 2003年と比較した場合も、 どの年代層でも賛成が多くなっている。 通信制では2012年調査では30%ほどの反対がある。
    2. 総合的な学習の時間
       この項目については 「とても賛成」 と 「やや賛成」 をあわせても全体的に賛成は少ない。 ただし年齢差があり、 50代では11%ととくに低く、 20代では28%とやや高くなっている。 それでも20代での 「やや反対」 「とても反対」 は合計で42%あり、 賛成を大きく上回っている。
    3. 学区の撤廃
        「とても賛成」 と 「やや賛成」 をあわせても全体に賛成が少なく、 とくに50代は少ない。 2003年と比較すると賛成は増え、反対は減っている。 また 「反対」 の傾向でみると、 年代が下がるにつれて反対は弱まる方向が見える。
    4. スクールカウンセラーの設置
        「とても賛成」 「やや賛成」 をあわせると、 どの年齢層でも大部分が賛成している。 2003年との比較でも賛成が増えている。
    5. 外部資源の活用
        「とても賛成」 「やや賛成」 を合わせると、 全体で60%を超える賛成があり、 反対は少ない。
    6. 学校評価
        「とても賛成」 と 「やや賛成」 をあわせても全体で10%強である。 20代と30代では反対が上回っているとはいえ、 賛成がやや高くなり 25 %、 23 %となる (図35)。 50代にいたっては、 賛成は 6 %にすぎない。
    7. 人事評価システム
       これも 「とても賛成」 と 「やや賛成」 をあわせても賛成の声は少ない (図36)。 とくに50代と40代は低く 3 %と 5 %にすぎない。 「とても反対」 「やや反対」 をあわせると、 84%と74%になる。 30代、 20代でも反対が賛成を上回るが、 それでも20%前後の賛成があり、 年代による違いがある。
    8. 評価の給与への反映
       ここでも 「とても賛成」 と 「やや賛成」 をあわせても賛成の声は少ない (図37)。 その中で比較的高いのは20代で25%、 30代で19%が賛成の傾向を示している。 20代の 「やや反対」 まで含めた反対傾向は31%であり、 30代のそれは46%である。 若い層でも反対が強いとはいえ、 賛否は接近している。
    9. 「指導力不足教員」 の認定と研修
       40代、 50代と20代、 30代で賛否は割れる (図38)。 40代、 50代では反対が賛成を大きく上回っている (40代46%対16%、 50代61%対12%)。 20代、 30代では賛成が反対を上回っている (20代33%対23%、 32%対26%)。
    10. 優秀教員表彰
       ここでも40代、 50代と20代、 30代で賛否は割れる (図39)。 40代、 50代では反対が賛成を大きく上回っている (40代52%対10%、 50代62%対 7 %)。 これについても20代、 30代では賛成が反対を上回っている (20代42%対17%、 36%対21%)。
    11. 生徒の授業評価
       20代では賛成が44%と反対の28%をかなり上回っている (図40)。 30代では賛否が拮抗し (31%対35%)、 40代と50代では反対が賛成を大きく上回る結果になっている (40代59%対13%、 50代69%対11%)。
    12. 学校評議員制度
        「やや賛成」 まで含めても賛成は全体としては少数派にとどまっている (図41)。 しかし20代では賛成24%に対し反対は19%、 30代では賛成26%に対し20%と賛成が反対をやや上回る結果になっている。 40代では賛成11%、 反対41%、 50代では賛成10%、 反対61%と反対が圧倒的多数を占めている。 これも20代、 30代と40代、 50代で評価が大きく分かれる項目である。
    13. 管理職登用試験の実施
       賛成が反対を上回っているが、 どちらとも言えないが半数以上を占めている。 どの年代でもあまり差はない。
    14. 学習状況調査
       これも年代間の受け取り方の違いが大きい項目である (図42)。 50代では 「やや賛成」 まで含めても賛成は 7 %、 反対は 「やや反対」 まで含めて69%、 40代では賛成 9 %、 反対50%と反対が賛成を大きく上回る、 そして30代では賛成26%、 反対35%と賛否の差が縮まり、 20代になると賛成34%、 反対21%と賛否が逆転する。
    15. 総括教諭制度
        「とても賛成」 「やや賛成」 を合わせた賛成意見は少ない。 とくに50代では 3 %と極端に少ない。 賛成意見は40代11%、 30代15%、 20代22%と年代がさがるにつれ徐々に増える。 20代での 「やや反対」 まで含めた反対意見は30%であり、 反対が賛成を上回っているとはいえ判断は割れている。  総括教諭では 「やや賛成」 まで含めた賛成意見が12%、 「やや反対」 まで含めた反対意見が51%となっている。 他の教諭 (賛成 8 %、 反対67%) と比較すれば賛成が多くなり反対が少なくなるとはいえ、 総括教諭自身も大半がこの制度に反対しているのは興味深い。
    16. 企画会議
       これも前の総括教諭制度ほぼ同じ傾向になっている。 総括教諭でも賛成意見は20%にとどまり、 反対は47%になっている。 たしかにその他の教諭の賛成 7 %、 反対69%とは数値は違うが、 総括教諭でも反対が賛成の倍以上というのはどう考えるべきであろうか。
    17. 教員免許更新制度
       どの年代でも 「やや賛成」 まで含めても賛成意見はひと桁であり、 反対はきわめて強い。 ただ年齢が下がるにつれて反対がやや弱まる傾向がある。 それでも20代で 「とても反対」 54%、 「やや反対」 16%と圧倒的多数が反対であることに変わりはない。
    18. 民間人校長
       これも40代、 50代と20代、 30代で傾向が変わる項目である。 40代、 50代では反対が賛成を大きく上回っている (40代62%対 6 %、 50代74%対 3 %)。 20代、 30代でも反対は多いが、 賛否の差は小さくなっている (20代19%対36%、 30代21%対38%)。
    19. 公募制度
       これは40代、 50代と20代、 30代で賛否が逆転する項目である(図43)。 40代、 50代では反対が賛成を上回っている (40代29%対20%、 50代45%対20%)。 20代、 30代では逆転し賛成が多くなっている (20代34%対 9 %、 30代45%対14%)。

     制度についての意識をまとめる前に、 先ほどと同じように2012年の50代と2003年の40代とを比較してみる。
      五日制については、 「とても賛成」 という答が36%から60%に大幅に増えている。 2003年時点では 「やや反対」 「とても反対」 が、 少ないとはいえ合計17%あったものが、 わずか 7 %にまで減っている。
     総合的な学習の時間について言えば、 2003年における賛成は 「やや賛成」 まで含めても13%、 2012年には11%と低い状態が続いている。 「やや反対」 まで含めた反対の傾向は62%、 73%と高止まりの状況である。 総合的な学習の時間の導入から相当の時間が経過してもなお反対傾向は高いままである。
     学区の撤廃についての反対傾向は 「やや反対」 まで含めて、 63%から47%に減少している。 ただし賛成傾向も16%から19%に増加した程度であり、 支持されるようになったとは言えず、 抵抗感が薄れたという程度である。 スクールカウンセラーの導入については 「とても賛成」 が57%から66%に上昇しているが、 これはもともと賛成傾向が強かった項目である。
     人事評価システムについては、 「とても反対」 が74%から62%に下がっている。 ただし反対傾向は87%から83%とほぼ変わらず、 受け入れられるようになったとは言えない。 「指導力不足教員」 の認定と研修についてはほとんど変化がない。 また民間人校長の導入についての意識もあまり変化はない。
     とくに注目すべき項目は次の二つである (図44)。 生徒の授業評価については、 2003年の時点では 「とても賛成」 「やや賛成」 が39%、 「やや反対」 「とても反対」 が26%と賛成が反対を上回っていた。 しかし2012年には 「やや賛成」 まで含めても賛成傾向は11%に減少し、 「やや反対」 「とても反対」 は69%に大幅上昇している。 導入当初では五分五分というよりも賛成意見が多かったものが、 導入から時間が経過するとともに圧倒的に反対意見が強くなったのである。 また学校評議員制度についても、 2003年と2012年の間では、 賛成傾向は16%から10%に減少、 反対傾向は40%から61%へ大幅に増加している。 これも生徒による授業評価ほどではないが、 似たような傾向を示している。

     ここで制度について全体をまとめてみる。 「五日制の導入」 「スクールカウンセラーの導入」 「外部資源の活用」 等の全体的に反対の少ない項目では、 年代による大きな違いはない。 「総合的な学習の時間」 についてはやや複雑な状況になっている。 40代も50代も反対意見が強く、 とくに50代では2003年よりも反対意見が強くなっている。 40代も50代も 「総合的な学習の時間」 を中心的に担ってきた層である。 実施しながらもその意味を実感することができていないということだろうか。 そして20代の教員は 「総合的な学習の時間」 に生徒として取り組んできた経験を持っているはずである。 その20代でも反対傾向が賛成傾向を上回っている。 「総合的な学習の時間」 について、 現状に即した検証が必要だろう。
     年代による違いが大きく分かれるのは、 評価、 人事管理に関わる項目である。 おおざっぱに言えば、 若年者は管理、 評価に抵抗が弱く、 高年者は抵抗が強い。 また学区の撤廃や学習状況調査についても20代、 30代のグループと40代、 50代のグループで賛否の傾向が明確にわかれている。
まとめ
 どの年代であってもほぼ共通した意識傾向をみとめることができる。 教員になった動機について聞くと、 どの年代においても 「教わった教員に影響された」 という答が多くかえってくる。 また生徒との 「ふれあい」 を望んで、 あるいは専攻分野の研究を続けていきたいと思った、 こうした答も年代を問わずに多数を占めている。 さらに教職という仕事に対する意識についても、 年代によってそう大きく変わるところはない。 社会的に尊敬される仕事、 経済的に恵まれた仕事、 生徒と接する喜びのある仕事、 こうした意識は年代を超えて共有されている。 あるいは精神的に気苦労が多い仕事、 専門的で高度な知識や技能が必要な仕事、 体力のいる仕事、 使命感がなければ出来ない仕事、 こうした意識も多少の強弱の違いはあっても年代を通してほぼ共有されている。 概していえば、 教員という職業に関する意識においては、 その職に就いた動機も含めて、 年代による違いはそれほど大きくないと言ってよい。
 ただし、 調査項目を先に進めていくと、 年代によって大きく異なる結果に出会うことになる。 「教員の間で教育観や教育方針に関する議論が少なくなっている」、 「教員間で生徒に関する情報が共有されていない」、 こうした項目になると、 年代が高い層ほどその意識が強くなる。 「職員会議での議論が尊重されていない」、 「学校運営に関わっている感じがしない」、 こうした項目についても同じような傾向になっている。 若い層ではこの意識が高年層に比べると弱くなっている。 議論し、 情報を共有し、 共同で意思決定をしていく、 これは職場のあり方にかかわることである。 年齢の高い層はここに強い危機感を持っている。 2003年の調査でも高年層においてこの意識は強かったが、 今回はさらに強まっている。
 さまざまな施策に対する受け取り方において、 年代による意識の違いはさらに明確になる。 人事評価システム、 評価の給与への反映、 「指導力不足教員」 の認定と研修、 優秀教員表彰、 等、 個々の教員の評価にかかわる施策について、 年代の高い層はかなり強い抵抗感を持っている。 若年層になるとこれらの施策への抵抗感は弱まっている。 あるいは人事異動における公募制のような、 個人の能力を問うような施策にも高年層は抵抗があり、 若年層は弱い。 学区の撤廃や学習状況調査、 学校評価についても、 若年層の抵抗感は弱く、 高年層の抵抗感は強い。 その是非は別として、 評価すること、 評価されること、 競争すること、 競争させること対する、 年代による感覚の違いを今回の調査から読み取ることができる。
 しかし、 こうした年代による違いを強調しすぎてもいけないのかもしれない。 たとえば 「教員の間で教育観や教育方針に関する議論が少なくなっている」 という意識についても、 強弱をみるならばたしかに年代による違いはある。 だが 「時々感じる」 まで含めるならば、 年齢の若い層、 20代であってもその 3 分の 2 が、 「議論が少なくなっている」 と感じているのである。 すでに2003年の調査時点で議論は少なくなっていると多くの教員は感じていた。 そうであるならば若い教員はもはや活発な議論を経験することはできなかったはずである。 それでも20代の教員の大半が、 議論が少なくなっていると意識している。 このように職場のあり方についても、 年代を通して意識が共有されていることが確認できる。 そして、 高年層だけではなく、 若い教員でも、 強弱の違いはあるにしても、 出勤時になると気が重くなったり、 やめたいと思うことがあるのである。
 そういうところで気になるのが、 総括教諭の存在である。 すでに 「ねざす」 前号で総括教諭の導入が、 教員の当事者意識にマイナスの方向で影響を与えているのではないかという指摘をした (『ねざす』 51号 「教員の意識調査」 中間報告)。 この本報告においても、 「学校運営に関わっている」 という意識と 「辞めたい」 という意識の重なりが確認できた。 教員が意欲を持って仕事を続けていくために、 どのような職場がつくられなければならないのか、 総括教諭のあり方も含めて考えていく必要があるだろう。
(教育研究所)
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