編 集 後 記

■今回は特集を組めなかった。 独自調査で 「私費」 (学校徴収金) という領域に注目したのは、 良かったと思うのだが、 充分な準備なしに調査を始めてしまったと反省している。 今回は、 中間報告という形で掲載した。 今後継続して分析していきたいと思っている。
■日本史の必修問題について 2 本の論文を掲載することができた。 前教育長の引地さんと上杉さんの論文をお読みいただき、 日本史必修について様々なところで 「騒然たる教育論議」 が起こることを願っている。 昔のことで申し訳ないが、 丸山真男が、 日本の学問の在り方は 「たこつぼ型」 で、 論争しても共通の基盤がなく、 最後は、 「表面はともかく、 腹の中ではお互いに度し難い考え方だということでおしまいになる」 ということを言っている。 「開かれた学校」 など、 いろいろなところで 「開かれた」 というのがキーワードになっている割には、 今も、 「たこつぼ型」 が多いような気がする。 「ねざす」 が仲間内でだけ通用するメディアにならないよう心がけたい。 われわれは、 とかく、 最近の若者は人間関係が希薄だとか、 コミュニケーション能力が低いと言うが、 自分たちのコミュニケーションこそ、 異質なもの同士の間で成り立っているのかどうか自省したい。
■所員による連載もぜひ目を通していただきたいと思う。 私は 「映画に観る教育と社会」 を読んで 「靖国 YASUKUNI」 をぜひ観たいと思うようになった。 また、 今回から 「学校における非正規雇用」 についての連載を始める。 学校では、 社会科やLHRなどでフリーター、 非正規雇用のことを取り上げることが多いと思うが、 学校現場でも非正規雇用は急増している。 生徒から見れば、 雇用の形態がどのようなものであっても先生は先生である。 ユネスコは、 教員の地位について次のように加盟各国に勧告している。
   「教育の仕事は専門職とみなされるべきである。 この職業は厳しい、 継続的な研究を経て獲得され、 維持される専門的知識および特別な技術を教員に要求する公共的業務の一種である。」
  このような精神で待遇が行われているのか、 連載を通じて読者のみなさんと一緒にもう 一度考えてみたい。
■光母子殺害事件に関連して、 橋本大阪府知事のテレビでの発言に対する損害賠償請求が裁判で認められた。 橋本知事は控訴するそうなので、 法的な決着は今後だが、 弁護士は被告人のために活動するということは常識に属する。 マスコミ受けする発言ばかりが大手を振っているように感じるのは思い過ごしだろうか。  「ねざす」 は、 事実に基づいた冷静な論議の場を今後も提供していきたい。
(永田)

教育研究所員名簿

代   表 佐々木  賢 (社会臨床学会運営委員・元都立高等学校教諭)
研 究 所 員 石臥 薫子 (テレビディレクター・ライター)
井上 恭宏 (神奈川県立修悠館高等学校教諭)
大島 真夫 (東京大学社会科学研究所研究員)
沖塩 有希子 (青山学院大学講師)
金沢 信之 (神奈川県立田奈高等学校教諭)
佐藤  香 (東京大学社会科学研究所准教授)
宗田 千絵 (神奈川県立市が尾高等学校教諭)
武田 麻佐子 (神奈川県立藤沢工科高等学校教諭)
手島  純 (神奈川県立栗原高等学校教諭)
成田 恭子 (神奈川県立金井高等学校教諭)
藤原  晃 (神奈川県立茅ヶ崎高等学校教諭)
本間 正吾 (神奈川県立有馬高等学校教諭)
特別研究員 永田 裕之 (元神奈川県立高等学校教諭)
事 務 局 員 布施 俊子 (神奈川県高等学校教育会館 県民図書室司書)
共同研究員 神田  修 (九州大学名誉教授)
黒沢 惟昭 (長野大学社会福祉学部教授・前教育研究所代表)
小山 文雄 (作家・近代史家・元教育研究所代表)
杉山  宏 (元神奈川県立日野高等学校校長・元教育研究所代表)
 
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