新代表&新所員紹介

新代表
黒沢 惟昭(山梨学院大学教授)


 皆さん、こんにちわ。この4月から杉山先生の後任として代表を務めさせていただくことになりました黒沢です。よろしくお願いします。
県教祖・教文研の方では研究評議員として長らく調査・研究などに携わって参りました。また、日教組や教育総研でも主として高校問題に関わりましたが、その際に神奈川の高校の先生方には多々ご協力いただき感謝しています。そんな関係もあって、全国各地の現場を訪れる機会がありましたが、当研究所の刊行物が大変有名かつ好評であることを知りました。外部の学者・研究者に「委託」するのではなく、教職員が自ら、現場に「根ざして」調査し考え抜き、討議した成果が現場の人々の心に響くのだと思います。そのような営為と方法を貫いてこられたことに敬意を表すると同時に、その研究所の代表になりましたことを栄光に思います。
 ご存じのように、日本の教育は今後なお厳しくなることが予想されます。しかし、現場に根ざした調査・研究、それに基づく言説を創造していく限り、未来は展けると確信しています。 皆さんとともにそのために微力をつくしたいと念じます。


阪 本 宏 児 (県立厚木南高校教諭)

 教職経験わずか7年では当然かもしれませんが、学校や教育をめぐる大小さまざまな問題に対してどのようなスタンスでのぞむか、われながらよく揺れ動きます。
 たとえば私にとって、必修科目や卒業単位数の縮減は、基本的に「支持」すべき方向性でした。「学校軽量化」や「お仕着せよりも選択」という本来的な理念に加え、勤務校でしばしば生徒との人間関係の拠りどころとなっていた、「卒業」至上主義もそれを後押ししていたと思います。
 しかし、ある種の「軽量化」にほかならない新指導要領的な「改革」が、知識や学ぶ意欲の二極化(それも経済格差を反映した)と不可分の関係にあることは、もはや疑えない事実。「卒業」至上主義にしても、そうした雰囲気が、一方では少なくない生徒の意欲を削ぐような場面を何度もみてきました。
 日常的な生徒指導から昨今の改革論議に至るまで、こうした矛盾・葛藤を感じる事柄はいくらでもあるのに、それを語る機会や場は、必ずしも十分とはいえないのではないでしょうか。
 そうしたなか、教育研究所の『ねざす』には、現場の葛藤を伝えてくれる、また伝えられる媒体として期待してきました。今回思いがけず所員となりましたが、自分がもっていた「期待」にそむかぬよう、微力を尽くしていきたいと思います。


沖塩有希子 (県立小田原城内高校講師・青山学院大学大学院博士課程在籍)

 本年度、研究所員の任をあずかりました、沖塩有希子と申します。
 現在、青山学院大学大学院博士課程に在籍し、教育史、とりわけ、19世紀イギリスにおける女子中等・高等教育について、これに関与した女性たちの教育的意識や取り組みを考察することを研究対象にしております。おそらく、このような私の関心は、現在の日本の(高等)学校教育の現場とは、およそかけ離れていると思われるかもしれません。ですが、私自身としましては、学部時代の専攻が西洋史であり、当時から教育という分野にも多少興味を抱いていた事情もあって、たとえ間接的でも、「歴史」的視座から「教育」にアプローチする事によって、今のわが国の教育を考える一契機になるのでは…との思いで研究を進めております。
 また、県下の高等学校で非常勤講師として勤務もしております。
 以上のような経緯から、現状のところは、実際の高等学校の教育現場やこれに携わっていらっしゃる教員の方々の実情を把握することに精一杯の状態です。しかし、県下で高校教育に尽力していらっしゃる教員の方々の意識や問題関心といった肉声を知り得るという、この貴重な機会を無駄にすることなく、自身の立場なりに、高校教育の有り様を考え、この向上に向けて、微力でもお手伝いができれば…と思っております。


小 野 行 雄 (県立東金沢高校教諭)

 大量採用時代に英語科教員となって、今年で19年目。今関心があるのは英語教育ではなくて、大上段に振りかぶっていえば、人間にとって幸福とは何か、どういう世界が望ましいのか、ということです。
 教員のかたわら、NGOに関わり、社会開発を自分の問題とするようになって10年。初めのうちは「かわいそうな人々を助ける」ような意識でやっていけても、そのうちにつきあたるのが、どうも向こうの方がよいのかもしれない、という価値観のひっくり返り。そのうち、その援助や開発の結果どういう社会になるのか、という問題、つまり開発のフレームワークを考える必要がでてきます。そこから翻って、では自分自身はどうなのか、それに向かって自分の態度はどうなのかということが問われてきます。問われついでに、今年から通信制大学院で国際社会開発を研究中。今年の夏も、フィリピンに3週間行っていました(もちろん研修と年休はきちんと出しています、念のため)。
 職場では、よせばいいのに統合再編の委員、進路主任に分会書記長も引き受けてしまい、どれも中途半端。周囲のみなさんに迷惑をかけながら、ウィンドサーファーで、ヨットマンで、マラソンランナーで山岳部顧問で、ついでにゲーマーだったりもします。迷惑かけついでに、教育研究所の研究員もやらせていただくことになりました。そんなにやりきれるのか、はなはだ疑問ながら、よろしくお願いいたします。
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