『教育白書2001』独自調査
 中途退学者の声を高校改革へ
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now 中退者のアンケート調査の結果
(2)高校中退者の状況 
5)高校づくりでとりあげてほしいこと

 3. 中退者のアンケート調査の結果
 (2) 高校中退者の状況 
 以下、アンケートの回答内容の大きな傾向を紹介し、同時に主に記述回答に注目して分析を試みる。質問項目の内容に応じて、大きく五つに分けて述べていく。


 5)高校づくりでとりあげてほしいこと
 最後の設問は、高校再編・高校改革に期待することを記述してもらうための空欄を設けた。分類した結果 は以下のようである。「特になし」「なし」を除外して、何らかの意見・要望を記述してくれている回答が38人あった。 そのうち、教員に関する記述が圧倒的に多く15人、留年をなくして義務教育のようにしてと望む記述が5人、校則を自由にして欲しいという記述が4人、楽しい学校に関する記述が4人、勉強に関する記述が4人で、その他「学校はいらない」など個別 の記述が6人だった。  
 教員に関する項目をすべて紹介することはできないので、特徴的な意見を紹介したい。「やる気はある。学校に行きたいと思った。しかし、一定のルールにそぐわないからと処分される。本当の子供の気持ちを一番に重視してほしかった」「先生はもっと先生らしくあって欲しい。高校は義務教育じゃない、後悔するのはお前らだって思っているかもしれないけど、先生の協力があれば頑張れる子だってきっといると思う」「先生の教育!先生によって生徒は変わるから。キライな先生の授業は点がわるくて好きな先生の授業はできるものだし、今の先生は先生という自覚がないと思う」「勉強をしに行くというイメージが強く、義務教育ではないのに“行かなくてはいけない”場の一つに思える。もっとフレンドリーに楽しみの一つになるような高校が増えてほしい。生徒と教師が友達のように過ごせる高校が理想だと思います」など、中退者も自分の望む教員像・教育を渇望している。そして、生徒の目は厳しい。「教師もその学校に合った人を選んだ方がいいと思う」という声があった。  
 留年に関しては、「留年なんてなくしてほしかった。でも、この先留年の制度がなくなる時が来たりしてもそれはくやしい。高校も義務教育にしてほしい」「義務教育にすれば中退者がいなくなるんじゃない?」「中学みたいに、ぎむきょういくにしてほしい」など、中学校時代のイメージを重ね合わせて、留年の制度をなくして欲しいという意見が多い。  次に、校則に関しては、「バイク通学を許してほしい」「規則のない自由な学校」「特にないけど私的には自由な高校がいい!『何をしてもいい!』ってわけじゃなくって、個人個人を尊重した学校がいいです」と訴えている。 漠然と楽しい学校を要求する声もあったが、やや具体的な内容にふれたものは、「頭の良さ悪さと関係がなく、皆なが楽しく通 学できる学校があったらいいと思う」「楽しいと思えない。←ここをかいぜんしてほしい。生徒はともかく、生先までもが楽しそうに授業をおこなわない。それじゃあ、生徒も楽しいはずがない」などがあった。
 勉強に関するものでは、「楽しくやりたい勉強ができる学校になってほしいと思います。少しでも興味あることが、楽しい授業で勉強できれば、『つまらない』とみんな言わないんじゃないでしょうか?」「すべて平均的に勉強するのではなく、ひとつでも得意とすることをのばせるような指導をしていってほしい。そうすることによってあまり勉強ができない人間でも自信がもて、社会に出た時、役に立つようになると思う」「農業関係又は水産関係の学校に進みたかったが、学校が少く遠いこともあり、あきらめざるを得なかった。もっと、専問的な高校が、欲しいと思っている」などの声があった。そして、その他の意見には、「学校はいらない(社会にでたほうが自分自身がせいちょうする)」「学校を給食制にして欲しい」「生徒相談室をもっとみじかに感じられるようにするといいかも」などがあった。  

 
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