『教育白書2001』独自調査
 中途退学者の声を高校改革へ
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now 中退者のアンケート調査の結果
(2)高校中退者の状況 
1)高校入学にあたって

 3. 中退者のアンケート調査の結果
 (2) 高校中退者の状況 
 以下、アンケートの回答内容の大きな傾向を紹介し、同時に主に記述回答に注目して分析を試みる。質問項目の内容に応じて、大きく五つに分けて述べていく。


1) 高校入学にあたって
 ◆高校への進学動機 

 まず、設問3「どうして高校に進学しようと思いましたか」について述べてみたい。 表4にみられるように、自発的とはいえない進学動機(「みんなが行く」、「保護者から言われた」、「他に行くところがない」)が過半数(33人)を占め、多少なりとも高校へ行く意味を考えた初めの二つの回答は、29%(18人)しかいない。特に「みんなが行くから」という回答が最も多いことは、「高校は行くものだ」という大きな流れにのったものといえよう。文部省調査の結果 でも、 全日制高校については、この「みんなが行くから」が39.7%で、最多数を占めている。
 「準義務化」されたと言われる高校教育において、中学生は「高校は行くものだ」と思って、「どの高校へ行けるか」と成績を気にしながら進学する。将来の自分の進路や適性を考えた上でのこととはいえない。「高校へ行かない」ことは選択肢のひとつとはならないだろう。その背景には、進学・就職に際して「高卒」を当然の資格としている社会的な圧力がある。保護者も「高校ぐらいは行かせたい」と願うのも、この社会的な圧力を気にしているからだろう。また、中学生にとってもこの先、同世代の友達が集う所といえば高校ぐらいしかなく、「他に行くところがない」と思うのも当然である。なお、「他に行くところがない」という回答を「自発的とはいえない動機」 に含めてみたのは、消極的な選択という意味でである。

 ◆その高校を選んだ理由  
 設問4「入学した高校を選んだ理由は何ですか」については、表5のような結果 だった。ほぼ半数(30人)が、「自分の成績にあった」からその高校を選んだということである(「その他」の回答の中には、「その学校しか行けなかったから」が3人いる)。部活動、あるいは「特色づくり」が喧伝されているにもかかわらず、それを選択理由とするような生徒は非常に少ない。
 中学の段階で自分の適性や個性をみて高校を選択させるとはいうが、現実に学校間格差が厳存しているとき、成績が相も変わらぬ 基準となるのは、やむを得ないであろう。「特色」をつくってそれを生かしたいというのなら、この学校間格差をなくさなければほとんど意味がない。文部省調査においても最も多いのは、「学力検査の結果 」の47.7%である(設問は、「入学する高校を決めるときに役立ったのは何か」であり、二つまで選択となっている)。一方、俗に、生徒の選択動機と高校の制服との関係がいわれることがあるが、 これを選んだ人は一人もいなかった。


 
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