神奈川県高等学校教育会館

「まちを歩く・食べる・知る−神奈川にくらす外国人の歴史と生活」

在外外国人集住地域研究グループ
  
 2007年度は県内の外国人集住地域のフィールドワークを生徒とともに行うことを活動の中心とした。そのために研究構成員の打合せを月1〜2回程度、主に県民サポートセンターを使用して実施した。研究構成員の大半が総合学科の教員であることから、夏季休業中を使い総合学科の生徒とともにフィールドワークを行うという前提で組み立てをスタートさせた。打合せの結果、フィールドとして考えられたのが、関東大震災時に多くの朝鮮人が虐殺された横浜市南区中村町周辺、1930年代から多くの朝鮮人が集住するようになり今もなお多くの在日韓国・朝鮮人をはじめとする外国につながる人たちが集住している川崎市川崎区、そして戦前より沖縄出身者が多く、さらに1980年代以降ブラジルをはじめとする南米系の人たちが多く移り住んでいる横浜市鶴見区潮田町周辺、の3つであった。
 生徒の募集は、まず横浜清陵総合高校の校外講座として認定をしてもらい、神奈川県高等学校総合学科教育研究会夏期公開講座として県内の総合学科各校に参加を呼びかけた。その結果一部分の参加も含めて30名程度の参加があり、単位修得に至った生徒も多数出た。

 7月30日は横浜清陵総合高校を会場として中村町事前学習を行った。関東大震災と朝鮮人、大川常吉、などの骨格となる講話を金廣照さんにしていただいた。昼にはチヂミやチョレギなどの料理を試作し試食した。午後からは市ヶ尾高校教諭の宗田さんを講師として中村町の歴史について事前学習をビデオを入れながら行った。
 7月31日は宗田さん、瀬谷中学教諭の後藤さんを、講師に2班にわかれFWを行った。コースは南太田駅から山王神社(お三の宮)、宝生寺、中村町、と回り、最後に信愛塾でお話をいただいた。8月1日は大師高校で川崎区事前学習を行い、その後徒歩で移動し、在日1世の方々の集いであるトラジの会に参加し、食事をし、在日1世の方のお話を伺ったり、ともに踊ったりして、短い時間ではあったが交流を行なった。8月2日は川崎駅から、市役所ロビーでトラジの会の書画展を見学、南税務署、池上町と回り、川崎市ふれあい館でお話をいただいた。
 8月6日は鶴見総合高校で鶴見区事前学習を行い、昼は豊住マルシアさんのご指導でブラジル料理を試作・試食をした。その後潮田中学に徒歩で移動し、同校教諭の松岡さんから潮田中学の取り組みについてお話を伺った。8月7日は鶴見駅鶴見線ホームの大時計、本町通のブラジル食材店、仲通の沖縄物産店、東漸寺、を回った。仲通の沖縄県人会館では大城さんの三線と沖縄と鶴見のかかわりについてお話を伺った。8月8日は鶴見総合高校を会場とし、まとめのレポート作成、同校多文化交流委員会との交流、外国につながりをもつ西田さんと小菅さんのお話を伺った。

 実施後には生徒同士の交流などを計画したが実現しないで終わった。3月14日には総合学科教育研究会教育活動成果発表会でこのフィールドワークに参加した高校生5名が発表を行い、自分たちが感じたことや考えたことを自分の言葉で発表した。

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