神奈川県高等学校教育会館

健常児と障害児の境界線・子どもへの
支援教育のあり方を検討・研究する

支援教育研究会
  
 高校生が1年間様々なボランティア活動に取り組みそれを年度末に発表するというユースボランティアフォーラムの活動に大学生のアドバイザーがどのように高校生を支援していったかというのがこの研究のねらいである。もともとユースボランティアフォーラムを高校時に体験した3人の大学生が高校教員とは違った視点で高校生に支援を行うことの研究はあまり例のないものである。
 
 教員と大学生アドバイザーの決定的違いは年齢が高校生と非常に近いということがある。年齢差がないことは高校生の話し合いのプロセスで指導というより共に考えるということが高校生に違和感がなく受け入れられる。また理念的なところで教員が高校生の自主的諸活動の関わりは基本的に慎重であるべきである。よく高校生の自主的諸活動といわれているもの、例えば生徒会諸活動のほとんどは教員主導でありあたかもそれを高校生が自主的にやっているような形を取っていることが多い。このことは多くの高校生が知っており目的がはっきりしている部活動以外に高校生の自主的諸活動は活性化しない大きな原因となっている。反社会的な集団が逆に生徒たちを引きつける一つの根拠はこの集団が結構自主的諸活動の決定の自由を与えているからであろう。また高校教員が話し合いに参加した場合、その発言が自分たちにとって高校生を望ましい方向に引っ張る傾向があり、そのこと自体が高校生の自主的諸活動の大きな妨げになっている。そうはいっても経験のない高校生がイベントを2年で白紙の状態からつくっていくのは難しい。また3年生になると現実的には大学受験の関係でこういった活動には参加できない実態がある。こうしたジレンマの1つの解消の手段が大学生アドバイザーの存在である。
 
 高校生が国際ボランティアを企画させると理想を追求するあまり、予算的にも日程的にも現実離れをしたものを出してくる場合が多い。これを頭から不可能とすると高校生たちはやる気を失っていく。実際に理想的な企画を様々な形で現実化する試みのなかで自分たちがそのことの現実性を勉強していくことが高校生の体験的学習なのである。
 
 今年のだい5回フォーラムについては実行委員会を夏期休業中の公益リーダー塾で募集しその中から4つの班をつくり計画はその合宿中にたてさせ発表させた。そして4つの班が9月以降さまざまな取り組みを行い、3月のユース国際フォーラムで発表していくという形をとった。大学生アドバイザーは公的リーダー塾からアドバイザーとして高校生と共に班活動の形成からユース国際ボランティアフォーラムの当日にいたるまで常に生徒によりそい続けた。彼らは高校教員と生徒のちょうど真ん中で苦労しつづけた。彼らの直接の声もあとにつけておくが彼らの1人1人にとってもいい経験であったろうと考える。
 
 なお大学生3人は地元の慶応大学湘南キャンパスの学生であり、近くに居住していくことがアドバイザーとしての活動を保証できた条件があったことも言い添えておく。

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