●特集T● 2013教育討論会より
現行奨学金制度は支援になっているのか

教育の機会均等の内実を問う

 教育研究所は、 「現行奨学金制度は支援になっているのか」 というテーマで今年度の教育討論会を開きました。 1943年以来つかわれていた 「育英会」 という名称も、 2004年には 「日本学生支援機構」 という名称にかわりました。 名前がかわっただけではありません。 中身も大きくかわり、 「奨学金」 とは言いながら、 その実は貸与、 しかも利子付きの貸与になってきています。 こうした事実はじっさいに 「奨学金」 にかかわってみなければ、 なかなか知ることができないものでしょう。
 
 若者のおかれている経済状況の厳しさを指摘する声が高まり始めてからすでにかなりの年月がすぎています。 当研究所でも、 高校授業料負担の問題、 私費負担などの問題をこれまでもとりあげてきました (『ねざす』 No.40, 41, 42, 43など)。 もちろん、 高校授業料について一部公費負担が実現するなど、 部分的には改善への方向がなかったわけではありません。 しかし全体的に見るならば事態はさらに深刻になってきていると言っていいでしょう。 夏には中京大学の大内裕和さんに 「奨学金問題の深刻さと改善へ向けての活動」 という論考を寄せていただき、 ニュース74号として各高校現場にお配りしました。 そして11月に、 この討論会をひらくことになりました。 討論会では、 高校の現場教員、 学生支援機構の中でこの問題に取り組んでいる方、 「奨学金」 の問題の解決を求めて運動をすすめている弁護士の方にパネリストをお引き受けいただき、 様々な角度から問題を論じていただきました。 以下、 お話しいただいた方、 まとめ役のコーディネータの方からお寄せいただいた文章をもって、 討論会の報告といたします。
                                   
(教育研究所)


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