●特集 T● 現行奨学金制度は支援になっているのか
2013年度研究所教育討論集会参加者のアンケートから

 奨学金の問題は実務にかかわったものでなければ実態を知ることはむずかしい。 討論会後に集めたアンケートを見ても、 「テーマについて無知だったと反省」 「(こうした問題を) 初めて知った」 「これほど多くの問題点があるとは」 といった声が寄せられていた。 それだけにこの問題についての討論集会を開くことができたことには、 大きな意味があったと思う。 アンケートにも 「奨学金制度の複雑さとからくり、 現場の仕事の疑問点などが分かった」 「制度上の不備が分かった」 といった声が記されている。 問題の所在を確認できたという点で意味のある企画になった。
 ただ当日は残念ながら高校教員に関わる別の会議が入ったこと、 また宣伝が不足していたこともあり、 参加者は高校教員18名、 一般参加者10名、 研究所関係者 7 名の計35名にとどまった。 参加者は少なかったが、 報告に見るとおり質疑も含め充実した内容だったと思う。 この会を出発点として、 「奨学金」 がかかえる問題への認識が広がっていくことを願う。
 アンケートに寄せられた声の中から討論の内容に関わるものを下に載せておく。 できるだけそのままの声を載せたが、 一部を省略や書き換えさせていただいたもの、 あるいは内容が重複するために割愛させていただいたものもある。 また、 運営にかかわるご意見、 今後取り上げてほしいテーマ等は、 ここには載せなかったが今後の参考にさせていただくつもりである。
  • 奨学金問題は貧困という社会問題であり、 制度を変えないと解決しない。
  • 時効になっているのに取り立てることを初めて知った。 後半の議論大いに参考になった。 個人保証より機関保証など (が参考になった)。
  • テーマについて無知だったと反省、 制度の改変を至急すべき。
  • 奨学金担当の方が同じ苦労や悩みを抱えていることがわかった。
  • ほとんど全ての話が参考になりました。
  • これほど多くの問題点があるとは、 そして付随する問題の奥深さを痛感しました。
  • 個人保証より機関保証、 予約奨学金の同意書は委託業務にしてほしいと教委に言いましょう。
  • 高校卒業者が 6 月までに就職すれば新卒扱い、 岩重弁護士のローンを借りている人が実はまじめな人が多く、 生活苦によるものであるという話 (が参考になりました)。
  • 岩重先生、 岡村先生のデータがよかった。 説得力有り。 今後、 個人保証×、 機関保証○で対応していきます。
  • 個別テーマから全体状況を考えることの重要性を再認識しました。
  • 「奨学金」 には、 貸与型=学資ローンと称した方がよいものがあり、 制度上の不備についてよくわかった。 声を上げる、 ネットワークをつくる (必要がある)。
  • 学校現場と支援機構、 弁護士等がもっと交流していけば教育はよくなっていくはずである。
  • 奨学金担当を久々にしてみたら 「浦島太郎」 状態で大変に困っています。 今日のお話はとても参考になりました。
  • 現在の奨学金制度の複雑さとからくり、 現場の仕事の疑問点などがわかった。
  • 機関保証を勧めると言うこと、 生活保護の世帯分離の話 (が参考になりました)。
  • 勉強になった。
  • 奨学金問題がクローズアップされる以前に借りた生徒へのアドバイスが不安。 教員の本来業務ではない。 有意義な企画でした。
  • とても勉強になりました。 ありがとうございます。
  • 生活保護世帯の高校等進学支援プログラムの担当者です。 大変参考になりました。
  • 来年 4 月より消費税が 8 %に増額されるが、 延滞者がますます増えると思われる。 なんとかしなければならない時期ではないか。
  • 「奨学金」 というからには給付型であってほしい。 貸与ならば 「学生ローン」 と呼んでほしい。
          
(教育研究所)
ねざす目次にもどる