特集 運動部活動 |
部活動に携わって 私の部活動体験 |
宮本 敦実 |
私は高校時代野球部だった。 練習は苦しくて大変だったが、 とても充実した高校生活を送ることができた。 自分が感じたことを生徒にも体験して欲しいと思い、 教諭になった。 野球部の顧問になって初めのころは、 何も分からずただ一生懸命にやっていただけだった。 保護者の考え、 気持ちを考えたことがなかった。 今思えば、 独りよがりであった。 私にも子どもができて保護者の気持ちが少しずつ分かってきた。 私には子どもが 4 人いる。 4 人が 4 人ともサッカーに夢中になった。 1 人くらい野球をやってくれればいいのにと残念に思ったが、 スポーツでも文化的なことでも、 何か勉強以外のものをして欲しいと思っていたので、 それはそれでよかった。 私が子どもの 「追っかけ」 をして、 試合の応援に行っているときのことだ。 逗子の池子のグランドで、 アメリカのベースのチームと、 私の子どものチームが対戦した。 まだ小学生だったが、 アメリカのチームはどんな指導をしているのだろうと思ってみていた。 アメリカは何でも自由なのかと思ったら、 ウォームアップは全員で同じことをしていた。 試合になると、 相手に失礼なプレー、 汚いプレーをした子ども達を、 指導者が厳しく指導していてびっくりした。 長女が中学生で、 横須賀のサッカーのクラブチームに所属していたとき、 アメリカのハイスクールの女子サッカーチームが来日した。 歓迎会の席で、 アメリカの生徒は皆お揃いの制服を着ていた。 日本側の代表が挨拶をしているとき、 アメリカの生徒が小声で私語をはじめると、 すかさず副校長が 「話をやめてしっかり聞きなさい」 と列の間を注意して回った。 私はそれまで、 アメリカは何でも自由だと思っていた。 ところが、 アメリカでも、 人の話はしっかり聞くことや、 相手のことを思った行動をし、 プレーをすることを厳しく指導していることがわかり、 驚いた。 最近考え方が変わったのか、 以前からそうだったのかは分からないが、 日本の部活動と、 考え方はほとんど変わらないと思った。 私は野球部の生徒たちに、 相手の気持ちが分かる生徒、 挨拶ができる生徒、 健康な身体を作って、 一生野球が好きで、 年を取ってもいろいろな形でずっと野球を続けられる人間になって欲しいと思っている。 部活動に対する考え方は、 指導者によってさまざまだと思うが、 部活動は人間形成にとても大切なものだと思う。 保護者の協力も、 部活動において重要だ。 親は、 自分の子どもが好きで、 大切な宝物だと思っている。 保護者の気持ちを理解して、 指導に活かしたいと思う。 以前と比べて、 教員に割り当てられる仕事の数と種類が、 格段に多くなった。 授業の準備の他にも、 書類と格闘する時間が長くなり、 コンピュータに向かうことも多くなった。 教員はいろいろな仕事が多くてたいへん忙しく、 部活動に出る時間がどんどん減少している。 平均年齢もどんどん高くなり、 生徒と一緒に動きたくても、 体がいうことを聞いてくれない。 新採用の教員も、 「新採用研修」 や、 他にもいろいろな研修・会議があり、 部活動に出られる時間がほとんどない。 教員に、 生徒と一緒に部活動ができる時間を確保して、 生徒も教員も思いきり部活動に打ち込める学校に戻ることが、 今の私の願いである。 |
(みやもと あつみ 横須賀工業高校教員) |
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