編 集 後 記

■今号の特集は 「運動部活動」 である。 部活動は、 高校生にとって大きな意味を持つだろうが、 教員にとっても思い出に残ることが多い。 部活動が長時間にわたる活動だからだろう。 私が最初に赴任した学校は定時制だったが、 休日の練習に行かなかったら、 なんで来ないの、 と言われ、 次に練習をぼんやり見ていたら、 何でやらないの、 と言われた。 私自身の経験からは顧問が練習につきあうという発想がなかったのだ。 この定時制で教えられたことは多くて、 特に部活動については手取り足取りという感じだった。
■部活動については実にさまざまな考え方がある。 教員の数だけあるといっても良いが、 生徒が魅力を感じている一方で、 負担を感じている教員が多いことは確かだ。 社会体育に移行すべきだ という意見はあったが、 今のところうまくいっていない。 簡単ではないが、 人ごととは思わず、 考えていくことが必要なのではないだろうか。 今回の特集を素材の一つにしてもらえれば幸いである。
■部活動の改善策の一つに 「学校・地域全体で支える」 というやり方がある。 (特集の 「鈴木論文」) 学校や教員だけで抱え込まないということだが、 何も部活動だけではなく、 学校教育全般にわたって 「学校を開いていく必要があるのでは?」 というのが公開研究会の趣旨で、 昨年の公開研究会 「通信制高校は今」 の続編である。 NPOであるK2にも参加していただいた。 石井さんの 「学校から・学校へ」 も、 表題の 「白旗を掲げられる学校」 が示すように学校は抱え込まずに外の世界に助けを求めて欲しい、と言う趣旨である。 金沢所員が外部資源を活かしつつ行う 「包括的で多様な若者支援」 について論じているのであわせてお読みいただきたい。
■「映画に観る教育と社会」 で紹介された 桐島、 部活やめるってよ を読んでみた。 半分くらいで高校生言葉に頭痛がしてしばらく休憩したが、 後半面白くて一気に読んだ。 作者の朝井リョウさんは新聞に 「ギリギリのバランスで成立しているのが子どもの世界」 と書いているが、 中高生は大変な世界を生きているんだな、 というのが正直な感想だ。
■最近、 若い方に書いていただくよう心がけている。 朝井さんと同世代の方が教職に就き始めているが、 若い世代と年配者との間には感性などで大きな開きがあるのは当然だ、 と思うからである。 若い世代の感覚を、 バランスよく紙面に反映させたいというのが目下の願いである。 読者のページには二人の大学生、 大学院生に書いていただいた。
■3 回にわたって連載した 「検証 高校改革推進計画」 について 3 人の方にコメントしていただいた。 読み通すだけでも大変なものにコメントしていただき、 感謝したい。 部分的な感想でもかまわないので今後ともコメントをお寄せいただきたい。 必要なのは、 生産的な論争であろう。
■今号は50号という記念すべき節目にあたる。 創刊以来を振り返ってみたいというアイディアもあったが、 見送られた。 変化が激しい折、 毎号が創刊号、 という心意気も大事かも知れない。

(永田裕之)



ねざす No48 2012年10月31日発行

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