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部活の体験から考えること

岩合 昭直

 私は、 スポーツ系の大学を卒業してスポーツ系の大学院で学んでいる学生です。 部活動の経験は中学校、 サッカー部で、 高校と大学は陸上部でした。 中学校から部活を行ってきた経験をもとに、 部活のあるべき姿について意見を述べさせていただきます。

部活を行う意義
 私は、 部活をとおして人間性が高められることに、 一番の意義があると考えています。 部活をとおして高められる人間性として、 礼儀、 上下関係の人間関係の形成、 忍耐力などがあげられると思います。 また、 部活を行う中で、 技術を高めるため、 または目標に近づくために行う試行錯誤は、 生徒の考える力を養うことができます。 私は部活をとおして高められる人間性として、 この 「考える力」 が重要であると考えています。 「考える力」 が重要だと考える理由は、 生徒が学校を卒業し、 社会に出た時に膨大な情報があふれている世の中で、 正確に情報を理解して、 自分で自分の進むべき道を選択していかなければいけないことを考えると、 「考える力」 を養うことはとても重要だからです。
 しかし、 部活では顧問の先生に絶対的な力があることが多いため、 顧問の先生の指導を忠実に実行しなければいけないので、 結果として生徒は指示をされないと動けなくなってしまうことが多いのが実情です。 そこで生徒に考える能力を養わせる工夫が指導に必要です。

部活の指導
 まず生徒が部活に入るのは、 その種目が好き、 または興味があるからという理由からであることがほとんどだと思うので、 指導するにあたり、 教員は生徒の 「好きや興味がある」 という感情を大切にするべきです。 好きなことや、 興味があることは、 生徒にとって、 考える作業を自主的に行いやすいからです。 具体的な指導法としては、 生徒にメニュー、 戦術、 細かいプレイなどを押し付けるのではなく、 あくまでも生徒の考える土台を構築することに重点をおき、 生徒に自主性を与えて試行錯誤させ、 生徒が自分の足で正しい方向に行けるように教員は生徒の地図になるべきだと思います。
 しかし、 現実的には押し付けの指導が多いと感じます。 それは、 人間性と競技力を高めていくはずの部活が、 競技力を高めることだけに重点を置きすぎるからではないかと私は思います。 たとえば全国大会に出場する伝統校の部員による不祥事などが起きているのは、 競技力を高めることだけに重点が置かれすぎているからではないでしょうか。 このようなことを防ぐためにも部活では、 競技力だけではなく人間性の指導も必要なのです。

部活のあるべきすがた
 最後に私が考える部活のあるべき姿を書かせていただきます。
 部活には、 試合で活躍できる部員だけではなく、 一度もレギュラーで試合に出られない選手のほうが多くいます。 競技能力の向上だけに、 重点を置きすぎると、 部活の練習の時に試合で活躍できる選手だけにスポットライトがあたり、 その結果、 モチベーションの高い試合組と、 モチベーションの低い控え組と二極化が起こると経験的に思います。 反対に、 試合に出られる選手と出られない選手が一体となって試合に臨むチームも見たことがあります。 そのチームの印象は試合に出る選手も出られない選手もお互いのことを思いやっていたと感じました。
 したがって私が考える部活のあるべき姿というのは部員同士がお互いに思いやれる部活であることです。 相手を思いやるには、 相手を考える能力が必要なので、 部活をとおして 「考える能力」 を身につけることが大切なのです。 私も部活をとおしてたくさんのことを学びました。 自分を成長させてくれた部活には感謝をしています。 生徒にとって、 部活が成長できる場所であることを望みます。

         
  (いわごう あきなお)

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