- 高校入試の経過について
我々現場の教員の意見が本当に反映されているのか、 いささか疑問に感じることが多い。 対象となる中学生への配慮、 指導する中学校教員の共通認識、 試験官である高校教員の平等性など、 様々な問題が軽視されているように思える。
- 調査書・学力検査・面接の配分について
改善案では、 調査書の評定 (A) ・学力検査の得点 (B) ・面接の結果 (C) をそれぞれ100点満点に加算してa、 b、 cとし、 合計数値 (S) は、 aとbとcをもとに各高等学校で定めた比率 (fgh) に基づき算出する。 S=a×f+b×g+c×hとなっている。 また、 「f、 g、 hは、 それぞれ 2 以上の整数とし、 f+g+h=10 を満たすよう設定する」 としている。
しかし、 一番考えて欲しいことは、 何のために 「100点満点に換算」 するのかということだ。
(1) 現行の前期は 『100点満点に換算』 していない。
現行の 「100点満点に換算」 は、 後期の1次選考のみである。 7 月21日にHPに掲載されている資料をみると、 前期では、 調査書の点数、 面接の点数、 自己表現活動の点数を合わせて、 総合点を90〜300点として学校独自で選考を行っている。
(2) 100点満点に換算するしないの違い。 現在の前期では面接点の重さは、 高いところでは 2 割以上の学校もあるが、 ほとんどの学校は 2 割未満の重さである。 2 割を切っている学校もあるのに、 それに学力点を付加し、 最低 2 割の重みをつける改善方針 (案) はどうだろうか、 計算してみた。
調査書点、 学力点、 3 段階評価の面接点 (A30、 B20、 C10) とした場合を考えてみる (面接の 3 段階については、 想像で点数をつけた)。
Xさんを90・180・30とし、 Yさんを92・200・20とすると、
- 100点満点にしないで、 そのまま合計すると (素点積み上げ型)
Xさんは90+180+30=300となり、 Yさんは92+200+20=312となる。
その差は、 12点となり、 学力点がしっかりとれたYさんが合格となる。
- 100点満点に換算する場合 (442での計算)
Xさんの調査書点=90/135100=66.67、 学力点=180/250100=72、 面接点=30/30100=100、
総合点=66.674+724+1002=266.66+288+200=754.66
Yさんの調査書点=92/135100=68.14、 学力点=200/250100=80、 面接点=20/30100=66.66、
総合点=68.144+804+66.662=272.56+320+133.33=725.89
その差は、 28.77となり、 面接でうまくいったXさんが合格し、 Yさんは学力点をさらに18 点以上とらなければ合格出来ない状況になる。
新制度は、 点数を全体的に、 総合的に評価して重みをつけることができる。 前期での面接、 後期での相対的な評価などを取り入れた素晴らしい制度になるはずだった。 しかし、 3 年間頑張ってきた成績、 培ってきた学力の結果が当日のわずか10分程度の面接での逆転もでてくる。
面接で失敗し、 調査書に差がない場合、 当日のテストで38点以上差がつけなければ合格できない。 面接での失敗は許されないこととなり、 中学校側として今以上に練習をする必要がある。 高校側も一人が面接をしているのではなく、 複数で行っているため、 選考の平等性がとても課題になり、 何を公平に評価することが出来るのかと懸念される。
- おわりに
この改善方針 (案) で、 様々な課題が浮き彫りになった。 結論として、 調査書や学力テストの点数よりも、 当日の面接が選考の結果にとても影響している。 最低の 2 割でも、 とても大きい数値になる。 また、 現場の我々もまだまだ周知していない箇所があり、 疑問に感じることも多い。 子どもたちのために、 本当に来年実施すべきなのか再度検討し、 納得のいく報告をいただきたいものである。
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