特集T 公立高校入学者選抜制度 |
保護者の立場から |
新 川 勉 |
一保護者としての意見ということでお聞きいただきたいと思います。 私は、 今、 大学 2 年生、 高 3、 中 3 の子どもを持っています。
まさしくこれから受検をしようという中で、 高校入試を保護者として見てきましたので、 そんなところから発言をさせていただければと思います。 学力試験は必要 まず、 私も今回の検討委員会のメンバーだったのですが、 学力試験に関してはやはり全員にやっていただきたいという思いがあります。 これは、 他の保護者にもそういう意見は多くあるかと思います。 今、 大学の入試でも、 うちの娘はAO入試で受験しているわけですけれども、 このAO入試が終わると、 次は学校推薦など、 うちの娘が行きたい学校はほとんど推薦で決まります。 ですから、 一般入試でほとんど枠がないという、 そういう学部です、 私は入試が無いと言う事にちょっと信じられなかったのですが。 そういうことを考えますと、 例えば、 前期入試で入って入試がない。 大学も入試がないというのはどうなのかなという感じがしております。 やはり、 私の学生時代にはテストがあるから、 入試があるから、 勉強したとか、 やはり節目節目にそういったテストがあることが、 大事なことだと思っています。 例えば、 入試前の最後の 1 カ月間はすごく勉強する時期だと思うのです。 前期で終わってしまいますと、 後期を受ける生徒と 1 カ月間の差が出てきます。 全員で学力テストを受けて、 卒業するまでしっかり勉強をしていく、 それで高校につながっていくというものが必要だと思います。 全員に学力テストを課していただくというのは、 私としては評価したいと思っています。 統一テストも必要 現在はどうしても、 塾が受験をサポートしているような形になっていると思います。 私達の時代にはア・テストがあって、 大体自分がこのぐらいの点を取っていれば、 これぐらいの高校に入れるだろうという時代だったかもしれませんが、 そういったものがあったらいいと思います。 時期的に難しいのかもしれませんが、 3 年の 2 学期とか 1 学期に、 入試には直接関係ない形での、 自分の位置がどこら辺にあるのかということの試験をやっていただくと、 子どもたちが自分たちで判断ができるのではないかと思います。 今、 塾が統一テストで指導して、 全県的な統計を作っているように思えます。 そういうところはやはり公立の中学校の中で、 統一テストをしていただければと思っています。 記載事項の点数化には疑問 生徒会をやった、 県大会に出たということが、 例えば、 私はジュニアリーダーの指導なんかもしているわけですけれどもジュニアリーダーをやっても、 3 年間ほとんど出てこない子もいます。 それでも、 「自分たちはジュニアリーダーをやっていました」 と言うんです。 そういうのが、 やはり、 公平と言うのでしょうか。 そういうものがなくなり、 今回は点数化しないということになっていますので、 いいと思います。 私のことばかり言って申し訳ないのですが、 長男は器械体操部だったものですからすぐ県大会なんです。 部活が少ないものですから。 今中 3 の子は野球部で県大会には出られなかったのですけど、 本当に一生懸命やっていました。 だから、 どちらが本当に中学校生活で部活を頑張ったかというと、 親の判断からは少し違うと思います。 結果だけで判断されるというのが、 いかがなものかなと感じています。 面接について 一言で言って面接はする方も大変ですし、 やはり、 受ける子どもも大変だと思います。 15歳の子どもたちにとって、 大変だとは思いますけれども、 コミュニケーション能力という面では、 生の自分を見てもらうというか、 そういう感覚で私はいいと思います。 それがうまく評価できればいいと思います。 しかし、 面接を点数化しているわけですけれども、 公平な形で点数化ができるのかという点では疑問を持っているところです。 同じ面接官が、 例えば300人の子ども、 500人の子どもの面接をすれば、 それはある種、 統一された評価ができるわけですけれども、 教室によっていろいろな先生が面接する中で、 点数化していくのが非常に難しいと思います。 その辺を公平に評価できる制度をつくってもらって、 学習意欲を中心に見ていただきたいと思います。 中学校の時は部活動ばかりやっていて、 調査書の成績はよくなかったけども、 入試で頑張ったとか、 面接で本当に学ぶ力とか意欲、 そういうものが感じられる生徒をやはり評価をしてあげられるような制度設計をしていただきたいと思います。 県立高校希望者の気持ちを尊重して 今回、 前期・後期の 1 本化ということで、 今までは、 前・後期あるので、 2 回県立高校を受検できるわけです。 新制度から 1 本化されることで、 1 回のチャンスになります。 経済的にどうしても県立高校に行きたいという子どもにとって、 非常に厳しいことになると思います。 県立高校に入りたい子どもについては、 ぜひ、 県立高校に通うことができるような制度をつくれればと思います。 新しい制度の実施に向けて これはもう決まっていることですが、 保護者の中では、 現在の中学校 2 年生から実施することについて疑問を持っています。 新しい学習指導要領の中で、 新しい学力観が出てきました。 教科書も来年から変わります。 だから今の小学校 6 年生から変わるのではないかという意見もあって、 今の中 2 からということで、 保護者、 子どもたちも非常にとまどっているところです。 そうは言いながら、 今までの問題点がある中で、 1 日でも早くいい方向に改善したいということですので、 理解はしていきたいと思います。 いろいろな弊害がある中で、 今の中 2 から実行するということですので、 ぜひ、 保護者や子どもたちも納得できるような、 いい入試制度にしていただければと思います。 |
(しんかわ つとむ 神奈川県PTA協議会会長) |
ねざす目次にもどる |