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教育実習を終えて思ったこと
 


 私は将来、 養護教諭を目指しており、 昨年、 中学校で養護実習と保健の教育実習をしました。 それぞれの実習で別の中学校に行ったのですが、 保健の教育実習での経験を書きたいと思います。
 その実習校は、 少しやんちゃな中学校でした。 例えば、 トイレの個室の扉が壊されていたり、 廊下にガムやツバが吐きすてられていたり、 授業中に先生に向かって罵声を浴びせたりすることもしばしば、 というような様子です。 実習先の先生方からも、 あまり良い状態とはいえないという話を聞いており、 3週間私はここで授業ができるのだろうかという不安があった反面、 そのような学校の子どもたちと接していくことに、 少し興味深いものもありました。
 実習が始まり、 子どもたちからは物珍しそうな目で見られつつも、 積極的に子どもたちの中に飛び込んでみると、 向こうからも話しかけてくれるようになりました。 子どもたちがグループでいるときは、 いたずらをしたり変なことを言ってきたりもしましたが、 一人ひとりと接すると、 どの子どもも、 とても素直で、 何か考えていることがあったり、 頑張っていることがあったり、 というように私は感じました。
 私が授業をした際、 子どもに教科書を声に出して読んでもらっていました。 そのときに 性機能 という言葉の部分だけ、 声に出すことに躊躇し、 周りの子どもも、 にやにやして騒ぎ出すということがありました。 そこで止まってしまったので私が 「これは、 性機能 ですね」 と読むと、 「うわー先生変態だなー」 などと子どもから返ってきました。 「えー変態呼ばわりなんてひどーい。 恥ずかしがってどうするのよー。」 と子どもたちと笑って終わりましたが、 今思えば、 自分が中学生の頃も、 このような言葉でもどぎまぎしてしまっていたような気がします。
 2 週目を過ぎる頃には、 子どもたちがとてもなついてきて、 色々な質問をされるようになりました。 高校ってどうやって入ったか、 大学で何をしているのか、 恋人はいるのか、 他にも、 胸の大きさや性行為の経験、 などと性に関する質問もされるようになりました。 そういう話に興味津々な年頃だからこそ、 20代の私に聞きたいことはたくさんあったのでしょう。 実習のはじめに、 指導教官から 「子どもから失礼な質問をされるかもしれない」 とは言われていたので、 驚きはしませんでした。 どう対応すべきか悩みましたが、 躊躇してはいけないと私は思っていました。 そこで 「なんでそんなに大きさが知りたいの?女の魅力をおっぱいだけで判断されたら悲しいわー。 その質問もね、 大人の世界だとセクハラって訴えられちゃうぞー、 あら大変。 私はまだしも、 クラスの女子にも聞いてたら○○君のファンがどんどん減っちゃうぞー」 というような返事をしてみました。 それからはあまり大きな声でそのような質問はされなくなりましたが、 それでもたまにこっそり質問はされました。 女の子の秘密ですよと答えは言いませんでしたが。
 ある日、 「先生これ何かわかるー?」 と話しかけてきた男子生徒がいました。 見るとそれはコンドームでした。 何で持っているのか、 どこで手に入れたのか、 気になる点はたくさんありました。 学校に不必要なものはもってこないという校則がありますが、 もちろんコンドームは学校生活に必要はありません。 なんて言えばよいのか考え、 このように返事をしました。 「それはコンドームね、 妊娠とか性病を防ぐ避妊具の 1 つだねぇ。 でもね、 これって傷が入ったり穴が開いたりしちゃうと使えないんだよ?そんなポケットにそのまま入れててどうするの。 これは、 あなたのいつかくるときのために、 大事にしまっておきなさいよ。 外にプラプラ出さないの。 おっけい?」 すると彼は 「先生も持ってる?」 と聞いてきました。 「そりゃ私も、 大事な人とのために持ってるわよー。 でもあなたみたいに外に持ち出したりはしないなー」 と返すと、 彼は少し驚いたような顔をしていました。
 きっと彼は、 私が恥ずかしがったり驚いたりすることを想像して見せてきたのでしょう。 改めて思い返すと、 私の対応はどうだったのかと考えることがあります。 中学生には早い話だと思う人もいるかもしれませんが、 ただ私は子どもに隠す必要はないと思います。 子ども自身も、 興味をもつことや気になっていることがたくさんあります。
  日本は、 生まれてきた子どもが一番死なない国。 でも生まれる前に殺される子どもが一番多い国 これは大学の公衆衛生学で知りました。 性行為の若年齢化、 人工妊娠中絶の増加など、 日本の性教育に対する課題はたくさんあります。 今回のやりとりで、 性教育の難しさを感じました。 しかしそれを、 少しでも変えていきたいとも思いました。
 実際に自分が養護教諭として現場に立つときにどうあるべきか、 ということを考えさせられる教育実習でした。 3 週間で学んだこと、 子どもたちとのやりとりを忘れずに、 教員になれるよう頑張りたいと思っています。
 
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