編 集 後 記
■今回の特集の一つは、 研究所の年間テーマでもある 「県立高校改革推進計画」 である。 戦後神奈川県は大きな教育計画を 4 つたてているが、 今回の計画は戦後改革に匹敵するものではないか。 戦後改革と共通することはいくつかあるが、 最大のものは、 高等学校教育に質的変化をもたらそうとしている点ではないだろうか。
 そもそもよい方向への改革なのかどうか、 という根本的なことをも含めて検討したい。 今回はそのために様々な方のご意見を掲載した。 実際、 この間の高校再編、 統合に関しては、 人によって大きく見方が違う。 天と地ほどの違いがあるといってもよい。 異なった見解の間のコミュニケーションを通じて共通理解を作り上げていくことができるかどうかが、 公共的であるかどうかの試金石だとすれば、 「ねざす」 が公的な存在になり得るかどうかが問われているとも言える。
 残念ながらすべての見方を掲載できたわけではない。 もっぱら、 編集子の責任である。 図々しいお願いになるが、 ぜひともさらに多くのご意見をお寄せいただきたい。 次号では教育討論会も踏まえて、 一歩進んだ検討の成果を掲載したいと思っている。  
■特集の二つ目は教員免許更新制である。 政権交代によって今後どうかなるか、 全くわからないが、 今後教員になる人々のためにも、 強い関心を持っていきたいと思う。
■政権交代と言えば、 ニュースを見るのが楽しみになった。 不謹慎かも知れないが、 面白い。 にこやかな鳩山さんの顔も、 渋面を作っている自民党の面々の顔もなにやらエンターテイメントの香りがする。 政治がエンターテイメントになってしまって良いのか、 かなり不安ではあるが。
 政治家主導というのが合い言葉だ。 菅直人が国土交通省の官僚に、 気に入らないなら国土交通党でも作って選挙に出ろ、 と言ったとか、 新聞に出ていたが、 選挙の洗礼を受けているかどうかが決定的になるということなら、 教育委員会などは軽い存在になってしまう。 首長主導で教育行政も行われることになるのだろうか。 政治家がマニフェストに、 教育に関する公約を掲げて選挙が行われる。 専門職としての教員の立ち位置はどうなるのだろうか。
■県立高等学校の成績処理システムが論議になっている。 15年ほど前には、 「おれはコンピュータには触らない」 と威張っていた同僚もいたが、 隔世の感である。 今回、 以前、 教育センターで情報教育に携わっておられた武沢さんに書いていただいた。 次回には現場からの見解をぜひ募りたい。
■状況が急速に変化する中で大事なのは原点だ、 ということが良く言われる。 そうした意味で原点を指し示していただいいた連載 「ねざす談義」 と 「キーワードで読む戦後教育史」 が今回で終了する。 「ねざす談義」 は35回 「キーワードで読む戦後教育史」 は16回に及ぶ。 小山先生と杉山先生には深く感謝したい。
(永田裕之)

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