編 集 後 記

■ 本号は、 前号に引き続いて研究所独自調査 「学校間格差と階層差」 と教育討論集会を中心に特集しています。 階層差の問題は、 簡単に解決のつかない問題ですが、 学校現場が日々直面していることでもあります。 社会的公正がどの程度実現しているか、 (あるいはしていないか) という教育政策に大きくかかわる課題です。 本誌の 「海外の教育事情」 にもあるように、 「お金」 や 「収入」 を議論するのをためらう風潮がありますが、 正面からとり組むべき課題でしょう。
■ 技術高校については、 二本の論考を掲載しました。 技術高校を知っている教員は、 昨年度でほとんどが退職したと思います。 1960年代を象徴する高等学校だっただけに記録に残し、 必要に応じて記憶を呼び起こすことが必要だと思います。 会館では、 本誌以外でも技高に関する 「聞き取り調査」 を行っています。
■ 「映画に観る教育と社会」 は、 若松孝二の 「実録・連合赤軍 あさま山荘への道程」 を取り上げています。 びっくりしたのですが、 私は手島さんと違い、 「総括」 という言葉に全く違和感がありません。 もう20年以上前にある討論集会で中学校の先生が (この方は私と同じ世代でした。) 「総括」 という言葉を使ったら、 若い先生が大きな声で笑ったのです。 彼はそのあと小さな声で 「総括だなんて」 とつぶやいていましたが、 彼のイメージでは 「総括」 という言葉自体を公の席で使うこと自体がおかしなことだったのだと思います。 私は、 ついこの間まで学校でもまとめという意味で 「総括」 という言葉を使っていました。 手島さんは 「総括」 という言葉に特定のイメージがありますが、 これから採用される先生たちには何のイメージもないでしょう。 感慨を持つこと自体が年をとったことなのかも知れません。
■ 4 月から特別研究員として本誌の編集を担当します。 14年前にも特別研究員になりましたが、 今回は退職してのことです。 14年の間に、 学校現場は大きく変わりました。 私たち団塊の世代の退職とともに新採用の職員が増え、 今後益々変わっていくと思います。 3 月の研究所員会議で、 「ねざす」 は、 教職員の 「公器」 と考えるべきであって 「限られた人の 『広場』 『サロン』 と思われたくない。」 という意見が出ました。 心して編集に携わっていきたいと思います。
■ 中山さんと阪本さんが研究所をお辞めになりました。 学校現場から外の会議に参加するのが難しい中、 ありがとうございました。 また、 今年度、 宗田さんと成田さんを新しく所員にお迎えしました。
(永田)

教育研究所員名簿

代   表 佐々木  賢 (社会臨床学会運営委員・元都立高等学校教諭)
研 究 所 員 石臥 薫子 (テレビディレクター・ライター)
井上 恭宏 (神奈川県立修悠館高等学校教諭)
大島 真夫 (東京大学社会科学研究所研究員)
沖塩 有希子 (青山学院大学講師)
金沢 信之 (神奈川県立田奈高等学校教諭)
佐藤  香 (東京大学社会科学研究所准教授)
宗田 千絵 (神奈川県立市が尾高等学校教諭)
武田 麻佐子 (神奈川県立藤沢工科高等学校教諭)
手島  純 (神奈川県立栗原高等学校教諭)
成田 恭子 (神奈川県立金井高等学校教諭)
藤原  晃 (神奈川県立茅ヶ崎高等学校教諭)
本間 正吾 (神奈川県立有馬高等学校教諭)
特別研究員 永田 裕之 (元神奈川県立高等学校教諭)
事 務 局 員 布施 俊子 (神奈川県高等学校教育会館 県民図書室司書)
共同研究員 神田  修 (九州大学名誉教授)
黒沢 惟昭 (長野大学社会福祉学部教授・前教育研究所代表)
小山 文雄 (作家・近代史家・元教育研究所代表)
杉山  宏 (元神奈川県立日野高等学校校長・元教育研究所代表)
 
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