特 集 2
研究所独自調査2005
定時制高校から見えるもの
(財)神奈川県高等学校教育会館教育研究所
2005年度独自調査プロジェクトチーム

はじめに 調査の概要
 定時制高校の生徒数が減少を続けていたのは既に昔の話になってしまった。 前期再編計画によって再編統合予定の課題集中校の募集定員が半減した2002年度入試から、 定時制高校に受検希望者が殺到するようになった。 定員充足率も 7 〜 8 割台だったのが、 10割を超える勢いとなった。 定時制高校に異変が起きているという声を耳にするようになったのはその頃からである。 全日制高校へ行けなくなった生徒が定時制高校へ向かっているため、 かって課題集中校で起こっていた事態が定時制高校でも起こっている。 それに定時制高校教員が対応しきれなくなっているのではないか。 そんな風聞が私たちの耳にも届くようになった。 その上、 2004年度入試から高校入試が全定同一日程となり、 今年度からは学区がはずされ全県 1 学区の入試制度になった。
 大きく変わった高校入試制度の中で、 中学生はどのように進路選択をしているのだろうか。 定時制高校に行きたいから定時制高校を受検するという選択が行われているのだろうか。 定時制高校はどうなっているのだろうか。 その実態調査に取り組む必要があると教育研究所の所員会議で決定したのが、 今年度の 4 月の所員会議であった。 そして、 6 名からなる独自調査プロジェクトチームも同時に結成された。 そして、 「定時制高校から見えるもの」 というテーマで、 中学生の全日制高校に行かなかった生徒の進路先についてのアンケート調査と定時制高校教員の聞き取り調査を行うことを決めた。
 中学生の進路選択に関して、 私たちは中学校の進路担当者にアンケートをお願いすることにした。 「全日制高校以外の進路を選択した生徒の調査」 (依頼文と調査用紙は資料編に掲載) と題して、 2005年 3 月に卒業した生徒のうちで、 全日制高校や昼間定時制高校以外の進路に決まった生徒について、 その進路希望と進路先と進路決定の要因について事例として分かる範囲で記入をお願いした。 7 月上旬から 8 月中旬までの短い期間だったが、 一部回収が 9 月にずれ込んだところもあったものの、 県内公立中学校を卒業して全日制高校に進学しなかった生徒約6,400人のうちの約900人の事例を集めることができた。 ただし、 回答方法の間違いや全日制高校に進路決定した生徒も含まれていたために最終的な利用可能なデータは、 公立中学校は89校、 事例は891件で、 事例の回収率は13.9%であった。 各地区の回収率や事例数については今回提示しないことにした。
 定時制高校については、 教員へのインタビュー調査を実施することにした。 県下の定時制高校のある各地区から、 横浜地区 2 名、 湘南地区 1 名、 横須賀地区 2 名、 県央・県西地区 3 名、 計 8 名の方について、 プロジェクトのメンバーが手分けをして 「定時制高校教員の聞き取り調査用紙」 (資料編) をもとに 8 月〜 9 月にかけて直接面談をして聞き取りを行った。 夏の暑い盛りに面談に応じてくれて、 1 〜 2 時間の間、 定時制高校の生徒の実態から始まって定時制高校の役割についてまで、 大変貴重な証言を得ることができた。
 この独自調査報告書は、 次のような構成になっている。 まず、 神奈川の定時制高校をめぐる近年の様々な改革と現状を報告している。 ついで、 定時制高校の教員の聞き取り調査結果のうち、 生徒の実態と全日制高校と定時制高校の比較、 定時制高校の役割についてまとめたものを報告している。 中学校アンケート調査については、 全日制高校に行かなかった生徒のうち定時制高校に入学した生徒を中心にまとめている。 その結果をもとに定時制高校はどうあるべきか、 高校入試制度をどうすべきかについて私たちの考えを述べている。
1. 神奈川の定時制高校の現状
 2005年度入試をめぐって

 2005年度入試は全日制高校 (公・私立) 進学率を対前年0.3%減の93.5%に設定し、 全日制では72クラス減 (普通科69クラス、 専門学科 3 クラス) としながら、 一方で定時制はすべての県立高校で 1 クラス35人から40人とし 7 校 (横浜翠嵐、 希望ケ丘、 追浜、 湘南、 茅ケ崎、 津久井、 磯子工業) で 1 クラス増ということで行われた。

 神奈川における入試は全・定同一日程で行われるが、 二次募集は全日制が先に実施し、 その結果を受けて定時制が実施される。 そのため、 定時制二次募集とりわけ公立普通科においては毎年高倍率となる。 (表 1 参照)
 定時制二次募集の途中の段階で県教委は各校に電話で応募状況を確認したようだ。 その結果、 各校で募集人員を大幅に上まわる受験者が予想されることから、 翠嵐高校の更なる臨時学増、 市立高校の35人定員から40人と募集定員を急遽変更することになった。 さらに、 合格判定会議直前に県教委から 「定員を超えて、 さらに学校裁量枠を超えて合格させて欲しい」 とのお願いが各校の校長にあり、 応募者全員を合格とした学校が多くあった。 そのため横浜翠嵐高校の場合、 通常 2 クラス70名定員のところ2005年度は167名が合格したことになった。
 県教委の 「お願い」 を県民図書室発行の 「共同時空No56」 (2005.6.15) で神奈川工業高校定時制の永井光夫氏は 「天の声」 が下ったと称している。 また、 神高教 「高総検レポートNo75」 (2005.7.13) では 「神の手」 と称し、 いずれも2005年度の定時制入試状況を詳細に記している。

全日制高校への希望者は80%以上
 2005年度の募集計画を策定するにあたって、 公立中学卒業生は67,925人と予測されていた。 この数はピーク時の1988年3月卒業生122,167人の55.6%だ。
 特に2005年 3 月卒業生は前年比3,971人の減で、 この生徒減は40人学級で100クラス分に相当する。 この現象は2006年 3 月卒業生まで続き、 ボトムは約63,500人でピーク時のちょうど半分となる。 1 学年12クラス規模で募集した学校のほとんどは半分の 6 クラス以下の募集になり、 さらに前期再編計画で14校の学校が消えていった。
 神奈川県の公立中学三年生の進路希望調査は毎年10月に実施している。 全日制の公立高校を希望している中学生は毎年80%以上いる。 しかし、 全日制公立高校の募集定員は中学卒業生の減に合わせて縮小し、 募集枠は60数%しか用意されこなかった。 そのため、 希望しても全日制公立高校に入れない生徒は毎年13,000人以上いる。 (表 2 参照)

私学には募集枠の約束
 一方で私立高校への希望者が少ないにもかかわらず、 ある程度の募集枠が用意されてきた。 それは県教委側が私学側に @県立高新設百校計画 (1973〜1987年) の際に急減期における生徒減分は県立高で対応をする A百校計画の達成後の予測される80年代後半の急減期も私学枠として18,000人〜19,000人を安定的に確保させる、 と約束したことから生じるものだ。
 実際に私立高校に入学した中学生は募集枠に満たない現象が続いており (表 3 参照)、 結果として全日制 (県内外公・私立) 進学率は極めて低くなっている。

募集計画をめぐって 私学協会が県教委を訴える
 2005年度の募集計画を策定する時期である昨年の秋に公私立間で全日制高校入学定員をめぐる県教育委員会と県私立中学高等学校協会 (堀井基章理事長、 略称:私学協会) との協議が決裂した。 私学協会側が10月 4 日、 県教委を相手取り次年度の県立高入学定員決定の差し止め訴訟を横浜地裁に起こすといった事態になった。
 そのため県教委は教育委員会会議での公立高校募集定員決定を 2 回延期したということだ。
 協会側はその後、 松沢神奈川県知事提案の 「新しい協議の場」 設置に期待を表明、 急きょ提訴を取り下げた。
 この間の経過を地元の 「神奈川新聞」 は詳細に報道してきた。 その概要は次の通りである。
 神奈川では1973年から百校計画が始まった。 その前年では、 県立高は65校、私立は72校であった。 百校計画が進む中で公立高の収容規模が大幅に増え、 生徒数がピークとなった1988年は公私間の配分比率は 8 対 2 となった。 私立枠の比率が大きく後退してしまい、 私立協会側は過去の経緯へのこだわりを強めたようだ。 私立協会の堀井基章理事長は 「最低18,000人の私学枠確保を約束されたが、 当時は、 今ほど生徒が急減するとは予測されていなかった。 協会は公私協調の立場から、 (2000年度以降) 18,000を下回る私学枠で合意してきた」 と言う。
 混乱防止を、 私学協会側は過去の経緯を、 それぞれ前提に妥協点を見いだしてきた。 が、 生徒数のボトム期を迎え、 両者の 「公私協調」 の視点は修復不可能なほどずれた。
 急減現象は神奈川県だけに限らない。 次年度の入学定員配分は、 他都道府県でも公私間協議を経て決められるが、 神奈川県のように協議が決裂するまでには至らない。
 神奈川県の協議は、 公立中卒者見込み数に計画進学率を乗じ、 その実数を毎年、 公私立間の協議で割り振る方式だ。 実数での配分は、 急減期は 7 対 3 に近づく傾向にある。
 他都道府県のほとんどは事前に配分比率を決め、 これを基に配分する方式だ。 例えは東京都の場合、 公私間の割合は59.6対40.4、 大阪府では 7 対 3 。 千葉県では公立枠を県内全日制希望者の 7 割程度で私学粋は学則定員の範囲内。 埼玉県は公立枠65、 県内外の私立枠35といった具合だ。 急減期は公私がそれぞれの比率に対する生徒減分を負担する"痛み分け" の方式のため、 遺恨を引きずらない利点がある。

定時制入試の混乱は2002年度から
 定時制への志願者は従来2,000名を少し超える数で推移していた。 ところが、 2002年度入試において3,580名と前年度より1,185名増と大幅に志願者が増えた。 (表 4 参照)
何故この年に限って志願者が増えたのだろうか。 この年の中学 3 年生への進路希望は、 10月段階で605名と従来の300名余に比して急増していることからその兆しはあったものの、 県教委もそれをまったく予想できず当初の募集定員を前年度より 281名少なく1,994名と計画していた。 (表 5 参照)
 その結果、 大量の不合格者が予想されることから国会でも取り上げられる事態になった。 その要因として、 横浜市立の港、 横浜商業(定)、 横浜工業の 3 校の募集停止 (420名分) と三部制の横浜市立定時制高校 (280名分) の出現 (差し引き−140人分) にあるとして、 マスコミも一斉に取り上げ、 横浜市に政策変更を多くの県民が求めた。
 このような応募者の急増で、 学科試験後に県立18校と川崎市立 5 校にクラス定員を35人から40人にし、 合計225人の定員枠の拡大をした。 横浜市立高校も定員増の措置を実施し、 最終的な募集定員は2,395人となった。

行き場を失った中学生
 確かに三部制高校への人気はあったものの、 定時制への志願者の急増の要因はそれだけではなかった。
 2002年度入試は全日制において従来なかった変化があった。 この間、 県立高校では中学卒業生減少にともなってクラス減が続いていたが、 2002年度入試では合計66クラス減の中に次の再編移行期校が含まれていた。
 寛政・平安、 中沢・都岡、 大岡・清水が丘、 東金沢・富岡、 川崎南・川崎、 柿生西・柿生、 三崎・初声、 長後・藤沢北のいずれも 3 クラス募集となった。 (表 6 参照)   「生徒指導面で課題がある生徒を受け入れてきた県立高校の学級減が響いている」 (神奈川県公私立高等学校協議会2005/7/13神奈川県公立中学校の代表の発言) ということで、 従来から一部再編校に受験していた中学生が私学に受験することもできず行き場を失い、 定時制へ志願したと思われる。

全日制進学率は最下位に近い値
 2002年度入試において全日制の募集計画は前年度と同じく94.0%と計画しているため全日制の枠は変わっていなかった。

 しかし、 実績進学率は90.0%と大幅に減少した。 (表 7 参照)
 それは私学への進学者が計画値を大きく下回ったことが原因であると思われる。
「生徒指導面で課題がある生徒」 は 「課題集中校」 以外の高校へは志願せず、 また私学にも志願せず定時制へ志願した。
 2005年度入試においても公立中学生の全日制高校進学率は2002年度と同様に90.0%と近年では最低となった。
 神奈川の全日制高校進学率は全国でも最下位に近い値である。 文部科学省 「平成16年度学校基本調査」 によると通信制高校を除く高校進学率は神奈川県で95.06%で愛知県の最下位に次いで全国で 2 番目といったデーターがある。 (表 8 参照)
 いままで記してきたように定時制高校への志願者の急増は神奈川の高校再編計画や入試制度に起因していると想定される。 今まで定時制高校に学んでいた障害を持った生徒や外国籍の生徒の入学が困難になり、 合わせて従来の定時制高校の良さが失われてきた。 この点については24ページ以下の 「定時制教員へのインタビュー」 でも伺える。 また、 本所報 「ねざすNo34」 (2004.11) の 「危機に瀕する定時制高校」 (手島純) でこの点について詳細に記している。

2.いま、 定時制高校はどうなっているのか 定時制教員へのインタビューより
インタビューにあたって
ここでは定時制教員へインタビューを行うことによって、 定時制の現状をあきらかにしたい。
 インタビュー調査は、 8 人の定時制教員に対して、 2005年 7 月〜 9 月に行った。 8 人の人選に関しては、 定時制の現状を詳しく語っていただけそうな方を中心に、 性別や地域があまり重ならないようにした。
 いくつか項目を設定してのインタビューであったが、 紙幅の関係もあり本論では、 「定時制の生徒に関してどう思うか」 「学級定数増とクラス増に関して」 「定時制と全日制と比較しての良い点・悪い点」 「定時制教育の役割」 について語られた部分を中心に紹介していきたい。
 インタビューをした 8 人の属性をまとめると表 1 のようになる (個人が特定できないよう配慮した)。 なお、 便宜上この 8 人の方をA〜H氏とさせていただく。
 なお、 今回のインタビュー報告においては、 調査数の関係から属性をもとにした分析は行わない。 むしろ属性の違いをこえて、 定時制の現状に対する共通する問題点が浮かび上がる結果になった。

大変になってきた!
  「定時制の生徒に関してどう思うか」 という質問項目にかかわって、 以前の定時制生徒との違いを指摘する方もいて、 定時制高校全体の状況について把握できる重要な答えが返ってきたので、 ここではインタビュー内容のほぼ全てを記載する (下線部は、 主に2005年度入学者に関してのキー・センテンス)。

「今年、 1 年の担任をやっている。 生徒は学校に来ているけど、 教室には入らない。 廊下で遊んでいる。 テストをやっていても教室には入らない。 とりあえずは入学したけど、 勉強はきらいなのでしない生徒がいる。 まじめな生徒はまじめで勉強はできるけど、 中学の時、 不登校だったりする。 また、 ほんとうに勉強できない子もいる。 生徒の幅が広がった。 ひとりひとりの生徒は以前と比べて、 大きく変わった気はしない。 しかし、 学校と教員に対する敵意をもっている生徒がいるように思う。 以前もそんな生徒がいたけど、 定時制では学校生活を送るなかで、 そんなにつっぱらなくてもいいと思うようになるけど、 今はちがっている。 また、 勉強はしないけど、 教室にいればいいんでしょうという生徒も少なからずいる (特別な生徒ではない)。 話が通じない生徒もいる。 精神的な問題を抱えている生徒も増えた。 生徒指導の大きな問題はなくなった。 しかし、 小さな問題はいろいろある。 親との関係がよくなく、 問題をおこして学校に親が呼ばれることを嫌がる者もいる。 全体的な印象でいえば子どもっぽくなった。」 (A氏)

  「個人的に話すと話せるが、 集団となると対応が難しい。 20年前に勤めた定時制高校でも、 全日制に行けなかったり、 無職者もいたが、 教育が荒廃したぶん今は大変になった。 教育がなりたたない。 あのころは、 学校に来るけど授業に出ないということはなかった。 今はできるだけ授業に出たくないという感じである。 欠課になるぎりぎり前に遅刻してくる。 試験の時も同じ状況である。 今年の 1 年生で授業をまともに受けているのは半分以下である。 外でタバコを吸ったりしている。 留年者でまともにやっているのは誰もいない。 学校には遊びに来ているとはっきり公言している者もいる。 他に行くところはなく、 学校に来れば、 友だちもいるし、 タバコも吸える。 最近は音楽をガンガンならして踊る者がいる。 廊下で唾をはく。 まじめな子もいるが学力が低い。 まじめで学力が高い生徒は少ない。 わり算ができない子もいる。 20年前と比較すると外国籍の子が多い。 問題の子が多く、 今年の 1 年生はとくにひどい。」 (B氏)

「学年によって生徒の質が違う。 上の学年に行くほど、 学校を楽しんでいると思う。 1 年の時はひとことも話さなかった子が話すようになったという先生もいる。 1 年にはどうにもこうにもならない子がいる。 まったく教員を無視する子がいる。 授業中に勝手にプレゼントを箱に詰めている子がいたり、 ウォークマンをつけているので注意すると、 逆に文句を言ってきたりする。 今年の 1 年がとくにひどいと思う。」 (C氏)

「最初は、 想像を絶する 『悪い子たち』 と、 仕事を持って資格を必要としている子たちが混在していてビックリした。 授業も活気があった。 徐々に不登校の子が目立ってきた。 昨年は生徒が子どもっぽくなったと感じた。 8 年前に生徒が少なくなった。 その後、 単位制の運用で全日制で留年するよりも定時制に転学をしてくる生徒が増え、 高校生らしい子が入ってきた。 前期・後期入試 (2002年) で騒ぐ子が入ってきた。 全日制の改革のしわ寄せを受けていると感じる。」 (D氏)

「全日の受験体制の余波で、 全日に行けなかった子が来る。 不登校の子がたくさん来ていたが、 その比率が下がってきた。 全日制の前期がダメで定時制の後期で入ってくる。 二次募集で入ってくる生徒も増えた。 勉強はできる。 昔からそうだったが、 1 年の 1 学期で 3 分の 1 は来なくなる。 昨年は 1 年は比較的よかった。 今年はガラッと変わってしまった。 20人ほどの教室の中でも騒ぐ。 2 学期も騒ぐ生徒は来そう。」 (E氏)

「前任校が課題集中校であったため、 そこと比べるとまだ学習意欲のある生徒がチラホラ混じっており、 授業展開はまだ楽な印象 (人数も少ないせいもあるが)。 年齢層にも幅があって、 それがクラスの雰囲気を落ちつかせるのにプラスに作用している印象がある。」 (F氏)

「 1 年生は授業中たち歩くこともなくまじめに授業に取り組んでいる。 大半は全日制に行けた生徒のようだ。 すでに半分ぐらいは授業に来ていないので 2 クラスとも少人数であるので落ちついている。 この傾向は過去 2 〜 3 年変化なし。」 (G氏)

「以前は色々な事情を持って、 まあまあ定時制を希望していた生徒が多かった。 学級増をしてから、 本来全日制にいっていたような生徒が入ってきた。 かなり成績のいい生徒と従来からの定時制の生徒とが混在しているようだ。」 (H氏)

 多くの人が現状の困難さを述べている。 全体的に教科指導および生徒指導が大変になってきたということである。 特に 1 年生が問題であるという指摘が多い。 「まじめに授業に取り組んでいる」 としたG氏の学校においても、 「大半は全日制に行けた生徒のようだ」 ということであるし、 「すでに半分ぐらいは授業に来ていない」 のであるから問題はある。
 2005年度の定時制新入生は、 前期の高校再編が終了し、 それゆえ、 いわゆる課題集中校が半減し、 また、 県立高校全日制への計画進学率の実質的な低下が進み、 全日制高校入試に全県一学区制が導入された年に入学した者である。 そうした要因が絡まり、 結果的に全日制を希望しながら入学できなかった者が、 定時制に流れ込んできたと考えられる。
 定時制の場合、 全日制課題集中校と同じように、 1 年次生の生徒指導は大変である。 それは 1 年次における中退率の高さからも把握できる。 定時制においては今までの 1 年次生の対応の困難さに加え、 従来なら全日制 (課題集中校) に行っていたような生徒も引き受けていると考えるのが妥当であろう。

定数増・クラス増でいいことはひとつもない
 定時制入学希望者が増え、 今までの定時制では収容できないので、 学級定数増とクラス増が定時制で行われた。 この学級定数増とクラス増に関しては、 肯定的な意見はなかった。

  「いいことはひとつもない。 定時制にほんとうに行きたい人が増えたなら、 引き受けるけど、 そうではない状態である」 (A氏)。 「これがとても問題。 このことで職員会議は熱い議論を毎回のようにしている」 (C氏)。 「定時制の独自性を保つため、 便宜的な定員増・クラス増には賛成できない」 (F氏)。 「とんでもないことだ」 (G氏)。 「とんでもない」 (H氏)。
 
 定時制の学級定数は35人であったが、 40人に変わり、 クラス増が行われた学校もあった。 この経緯は前節に詳しく書かれているので省略するが、 生徒数の増加が定時制教育に混乱をもたらした。 入学試験は行うが、 実際は希望する生徒がほとんど全員入学する定時制高校では、 生徒は非常に多様である。 全日制と同じような学級規模では学級運営が成り立たない。
 しかし、 このことは当然予想されたことであろう。 問題なのは、 予想されるにもかかわらず、 全日制入試のしわ寄せを定時制教育に課してしまった教育施策、 特に入試施策の問題ではないか。 そこには定時制教育への無理解と、 さらに言えば差別はないのか。 定時制を踏み台にして全日制教育を守るという姿勢はないのかという問題が浮上する。

定時制と全日制と比較しての良い点・悪い点
 定時制高校は全日制高校と比較してどう違うのだろうか。 その違いの良い点と悪い点を聞くことで、 定時制の特徴が浮かび上がってくると考えた。

「生徒指導では型にはめないのがいい。 子どもが定時制に行って良かった親と不満な親がいる。 不満な親は全日制的な普通の高校生活を期待している」 (A氏)。 「定時制では生徒の人数が少ないから接触を密にしようと思えば可能である。 いろんな生徒がいておもしろい」 (B氏)。 「よい点は、 生徒の居場所になっていること。 年齢層が幅広いからお互い触発されていると思う。 悪い点は特にない」 (C氏)。 「生徒との個人的なつながりがよい意味でできた。 教員も生徒も少なく、 家庭的なつながりがある点がよい点である」 (D氏)。 「成績や評価で生徒と対立することはない。 クラス全体で何かをやり遂げるということはないが、 教員と生徒の個人的関係はよい。 しかし、 生徒同士の付き合いはヘタである。 特定の子と仲良くしているが、 同じクラスであっても他の子はまったく知らない。 昼間の仕事がメインになっている子や学校が生活の場になっている子もいる」 (E氏)。 「良い点はアットホームなところ、 生徒への個性尊重と少人数なところ。 悪い点は、 クラス内の人間関係が希薄な点。 ただ、 全日制でも課題集中校は同じ状況だが」 (F氏)。 「少人数のためにコミュニケーションがとれる」 (G氏)。 「定時制の良さは小規模で人数が少なく目が行き届くところだ。 悪い点は夜間に学習するという点や施設を充分使えないこと、 学校行事やクラブに制限がある点である」 (H氏)。

 驚いたことに多くの方が、 定時制のいいところを現実の困難性にもかかわらず述べている点である。 生徒指導は型にはめず、 アットホームな定時制という定時制のよさがあるということである。 そして、 生徒が少人数なので、 生徒とのコミュニケーションがとれるという点が定時制のいい点としてあげられている。 問題なのはこうした定時制のいい点が今、 破壊されていることである。 つまり、 多くの方が定時制のいいところを感じていながら、 現実の困難性を訴えざるを得ない状況になっているという点である。

定時制の役割とは
 定時制を全日制とを比較して、 単にパートタイムなのかフルタイムなのかという時間の問題ではなく、 役割が違っているのではないかという点は、 定時制と全日制と比較しての良い点・悪い点を聞くことで示唆された。 そこで、 さらに 「定時制教育の役割」 に焦点を当てた話を拾い上げてみた。

「『受け皿』 という言葉を僕らも県も否定的に使っているけど、 再チャレンジ・セイフティネットのあり方でいいのではないか。 うまくいかなくなった人が、 もう一度チャレンジできる学校であってほしい。 全日制と定時制で競争するような学校でいいのか。 全日制とは違う何かがあるんじゃないかなという人が入ってきてもいいと思う。 県は全定ならんで選べるといいながら、 定時制に押しつけてる。 定時制は全日制と同じ学校を目指すべきでない」 (A氏)。 「勉強したいが経済的な事情で全日制に行けない者や、 外国籍で勉強したい子の学力保障、 まじめだが学力がない子などを受け入れたい」 (B氏)。 「定時制は定時制じゃなきゃという人が集まるべきところになるべき」 (C氏)。 「いろんな意味で行き場のない子が行ける定時制高校にしたい。 年配の人が学ぶこともできるし、 障害を持った子 (境界線上にいる) が学ぶこともできる」 (D氏)。 「全日制高校に行けない子のために勉強の場を与える。 今までは働く子のためだったが、 今は不登校の子が来ている。 全日制の退学者が卒業のために単位を補充するためにも来ている。 障害を持った子たちの進路指導を充実させたい」 (E氏)。 「全日制の多人数・集団的・画一的教育になじめない生徒の受け入れ場所。 社会人 (中卒) 受け入れ教育機関」 (F氏)。 「中学時代に不登校の生徒や全日制に不適応な生徒の学習の場としての役割がある。 一度社会に出た後にもう一度学びたいといったときに定時制高校が近くにあると良い。 8 年間ゆっくり学びながら卒業していった生徒がいた」 (G氏)。 「全日制になじめない、 集団行動になじめない、 そんな生徒のために必要である」 (H氏)。

 定時制生徒像が明確に語られ、 その生徒たちの教育・学習の場としての定時制高校の存在理由があることが分かる。 定時制の現状の困難さをこえても、 なお、 定時制の意義が認識されていると考えられる。 それは決して全日制と同じ次元で語られる定時制ではなく、 「定時制らしさ」 の重要性が語られている。
 この 「定時制らしさ」 とは、 インタビューでの言葉を借りれば、 勉強したいが経済的な事情で全日制に行けない者、 外国籍で勉強したい子、 まじめだが学力がない子、 年配の人・障害を持った子、 不登校の子、 全日制の退学者、 全日制の多人数・集団的・画一的教育になじめない生徒が、 学ぶ場としての定時制高校である。
 定時制高校は全日制と違って制服もないし、 いわゆる 「校則」 も厳しくない。 かなり低学力の生徒もいるので、 授業は生徒の実態に沿って進められることが多い。 3 年でも卒業できるが、 ゆっくり 4 年以上かけて卒業する生徒も少数ではない。 これらが、 全日制に行けない子や全日制に行かない子が通える雰囲気、 つまり 「定時制らしさ」 をつくり出すのである。 それゆえ、 「全日制と定時制で競争するような学校でいいのか。 全日制とは違う何かがあるんじゃないかなという人が入ってきてもいい」、 「定時制は全日制と同じ学校を目指すべきでない」 (A氏) という指摘は、 まさに定時制の在り方を考える上でのキー・センテンスなのである。 (強調は筆者による)

危惧される今後
 定時制高校の現状の困難さは、 全日制に行けずに不本意に定時制に入学した生徒が増加して教科指導上・生徒指導上の問題が生じているからだ。 この割合や人数が少ないときは 「定時制らしさ」 は維持される。 しかし、 35人から40人という学級定員増とクラス数を増やす教育施策は、 定時制に大きな問題を生じさせた。 量の問題が質の問題になってしまった。 そして、 このことが定時制教育そのものの意義を低め、 定時制教育が必要な生徒を排除することにならないかと危惧される。

3.中学生は定時制高校を希望したか ―中学校アンケート調査より―

学区の撤廃
  「入学者選抜制度・学区検討協議会」 は2003年 2 月、 「今後の学区のあり方について」 (協議会 第 2 次報告) において、 「高校選択の量的均等、 質的均等を図ることができるよう、 学区を撤廃する方向で検討することが望ましい」 という提言を教育委員会に対して行った。 委員会は 「神奈川県立の高等学校に係る通学区域改正方針」 を策定し2005年度入試より学区を撤廃した。
  「改正方針」 の中で、 学区を撤廃することになった理由を二点挙げている。

@ 「地方教育行政の組織及び運営に関する法律」 が改正され、 学区の設定については設置者の判断に委ねられることとなったこと
A 高等学校の特色に応じて学校選択ができるようにするとともに、 再編整備計画により普通科の高等学校数が減少すること

@ についてだが、 法改正の趣旨は学区設置の権限を地方自治体に権限委譲しことであり、 学区を撤廃することを述べたものではない。 つまり、 必要があれば学区の設置は地方自治体の判断で可能だということだ。 今年からいきなり全学区を撤廃した事によって様々な問題が生じたとすれば、 それは神奈川の教育行政の責任である。
A は普通科が減少し、 普通科への進学が困難になることを学区の撤廃で解決することができるとしたものだろう。 普通科の希望者を神奈川全体に振り分ければ何とかなるとの意図とも思える。

「改正方針」 は学区を撤廃した場合の課題として以下の五点を挙げた。
@受験競争の激化への懸念
A学校の序列化への懸念
B近隣の高校の入学を希望する生徒に対する影響
C地域とのつながりの希薄化への懸念
D中学校の進路指導への影響

加えて、 この五点を解決するために以下の四点について継続的に取り組み、 充実させるとした。
@特色ある高校づくりの進展
A入学者選抜制度改善の着実な実施
B中学校の進路指導の一層の充実
C進路希望等に基づく募集定員策定上の配慮

 果たして、 今年度の入試の現実はどうだったのか。 定時制に進学した中学生の状況を分析することで現実の一端を明らかにしたい。

全日制高校を希望しながら
 今回の調査で得られた全日制高校以外への進路となった中学生全体の約14%の中から、 10月の進路希望調査の段階で全日制高校を希望していた者を抽出した。 総数891名中352名が該当し、 率にして約40%の中学生が当初は全日制高校を希望していたことが判明した。
その352名の内、 県内公立全日制、 私立全日制、 県外全日制に215名が出願した。 それ以外の者は定時制を中心に様々な進路に出願することとなった。 10月末から翌年の 1 月にかけての短い時間の中で、 多くの中学生が定時制を中心に様々な進路に希望を変えていったことが分かる。 … (表 1 )
 しかし、 希望の主流は県内公立高校の全日制である。 そして、 残念なことに抽出した全ての中学生の希望は実現しなかったのである。 さらに、 最終進路先が不明であったり、 その他となったりしているケースも無視できない数があり、 中学生にとって入試が途方もなく過酷なものであったことがこの表からはっきり読み取れる。 … (表 2 )
 このように中学生の希望が生かされなかった状況が今回の調査から判明した。 さらに、 前期・後期と受検できる入試の仕組みよって激烈な競争が生じていることも分かる。 (表 3 ) にあるように、 今回調査した全日制高校へ進学しなかった者891名中、 全日制高校を2回続けて落ちた後に自分の進路を決定した中学生が133名存在する事実がある。 また、 20名近くの中学生が 3 度も続けて全日制を落ちているという過酷な実態が明らかになった。

定時制進学者の状況
 最終的な進路先が定時制となっている中学生の10月希望から進路決定までをまとめてみると当初から定時制を希望している者もいるが、 やはりこれまで見てきた通り、 途中で定時制へ変更した者の方が多数であることが確認できる。 最終的な定時制進学者349名中、 10月時点では195名が全日制への進学を希望していた。 率にして約56%である。 … (表 4 − 1 )
 中学生は全日制高校の受検に失敗したり定時制の受検にも失敗しながら最終の進路先を模索して決定していったのである。 … (表 4 − 2 )
 また、 定時制を希望する中学生が一定の人数存在する背景には全日制と定時制が同一日程で入試を実施するようになったことが影響しているかもしれない。 しかし、 今回の調査ではその点には触れなかった。 なお、 この同一日程入試については教育委員会が本年度高校入学者と保護者を対象にアンケート調査を実施している。 (資料編 参 考 を参照されたい。)  
  (表 5 ) にあるように、 中学生が定時制への進路を決定する際、 学力と経済が大きな要因となっている。 考え方も一定の人数がいるが、 その内容まで今回は調査をしなかった。
今回の調査からは断定できないが、 全定同一日程の入試が影響し、 自分の学力から合格の可能性が大きいと判断した定時制を当初に希望したとも考えられる。 学力で定時制を選択するというのは、 定時制が全日制の序列構造の中に組み込まれたことを示唆していると考えても良いだろう。
 また、 経済力を要因として進路希望を決定するものがこれほど多いのだから、 奨学金やその他の支援制度のさらなる充実の必要性もあるということだろう。

委員会の懸念は現実化
 以上のような定時制進学者の状況から、 「改正方針」 で教育委員会が示したいくつかの懸念は今年度入試で現実化したと考えるの妥当である。 受検競争は激化し、 定時制は全日制の序列構造に組み込まれた。 中学生の希望も生かされていない。
 10月の進路希望調査の時点で352名の中学生が全日制高校を希望していた。 さらに、 その中の317名は県内公立高校を希望していた。 これは、 全日制高校へ進学しなかった中学生の内、 約14%足らずの調査からの結果である。 もし、 全日制高校へ進学しなかった全ての中学生のデータに基づけば途方もない数字となるだろう。 6 クラス規模の高校は入学定員が240名である。 約14%の調査であっても、 全日制高校が1.5校は不足していたという結果である。 単純に推定すれば全体で10校程度は不足していたことになる。
 教育委員会が自ら示した 「進路希望等に基づく募集定員策定上の配慮」 を速やかに実行するべきだろう。 また、 繰り返し入試に失敗する仕組みである多段階選抜 (前期・後期) のあり方も見直す必要があると思われる。

<付記>数値データを中心とした独自調査の詳細については現在分析中であり、 今後報告する予定となっています。

ま と め
 いま神奈川の定時制高校はきわめてきびしい状況におかれている (その状況は研究所所報34号所収の 「危機に瀕する定時制高校」 (手島純) にも描かれている)。 かつて神奈川県では、 全日制高校のクラス定員40に対し定時制高校のそれは35におさえていた。 様々な理由により全日制高校にすすまなかった生徒、 他の高校を中途退学した生徒、 あるいはいったん社会に出た後で学ぼうとする生徒、 多様な生徒を定時制は受け入れてきた。 こうした役割を担ってきた定時制高校にとって、 クラスの人数が少ないことは教育活動を展開する上での必須の条件であった。 しかしいま、 クラス人数が40人を越え、 同じ校舎をつかう全日制のクラスの人数を上回るような定時制高校さえ出現している。 結果、 神奈川県の定時制高校の現場は、 これまでとは比較にならない困難な状況を抱えることになってしまった。
 今回の独自調査では定時制高校ではたらく教員へのインタビューをおこなった。 そこで聞こえてきた声は、 予想通り定時制高校の苦しい現状を訴えるものであった。 だが、 それとともに、 困難な状況の下でも定時制への期待も聞くことができた。 インタビューに応じてくれた教員の多くが、 生徒と教員のコミュニケーションがとれるというところに、 全日制とはちがった定時制の 「良さ」 をもとめていた。 あるいは、 不登校だった生徒や外国籍の生徒、 他の高校を中途退学した生徒など、 多様な生徒がまなぶ場所としての定時制への期待を語る教員もいた。 しかし、 こうした 「良さ」 は生徒集団が少人数であり、 定員に余裕をもっていてこそはじめて発揮される 「良さ」 である。 その条件はいま失われている。 そこに定時制高校ではたらく教員の苦しみがあり悩みがある。
 なぜこんな事態におちいってしまったのか。 各種の統計資料をみるだけでも、 その原因はおよその見当がつく。 神奈川県の全日制高校進学率は年々低下している。 2005年度はついに90.0%、 細かい数値を出せば90%を割り込んでしまっている。 全日制高校に入れないから定時制高校に行く、 ごく当然とも言える動きが予想できる。 今回の独自調査では、 中学校の教員の協力を得て、 この経緯を確認してみた。
 調査そのものは生徒の動きを外的に追ったものにすぎない。 それでもデータによって問題の所在は確認することができたと思う。 全日制への進学希望をもちながら、 希望を実現できなかった生徒、 あるいは希望を断念した生徒は、 10月の希望調査からはじまり、 入試選抜の各段階でしだいに他の道へと移っていく。 そうした動きの中で、 定時制は重要な受け入れ先になっている。 この事実を調査から確認することができた。 ただし、 今回は当初の問題設定の範囲に分析をとどめたこともあり、 定時制への受検生の動きを追うだけの分析にとどまっている。 時間をかけて詳細な分析を加え、 また視点をかえて見ることにより、 さらに多くの事実が浮かび上がってくることも考えられる。 それについては別の機会に譲ることにする。
 さて、 何が必要か。 ここまでくればもはや論をまたないであろう。 全日制への進学を希望する生徒が希望をかなえられるように全日制の募集枠を広げること、 何よりもこれが必要だろう。 これによって全日制を希望しながらも 「不本意」 に定時制へ入学せざるを得ない生徒を減らすことができる。 この条件があってはじめて、 定時制では生徒と教員とのコミュニケーションを成立させることができ、 またいつでも必要なときに学びたい生徒を受け入れることも可能になる。 定時制に期待される 「良さ」 を生かす鍵は、 全日制の受け入れ枠のつくりかたにある。
 最後に、 多忙極まる中で煩雑な調査に協力してくださった中学校の教員、 貴重な時間を割いてインタビューに応じてくださった定時制の教員に感謝したい。

独自調査プロジェクトチーム
   大島 真夫  金沢 信之
   手島  純  中野渡強志
   本間 正吾  三橋 正俊