所員レポート
教 育 特 区、憲法・教育基本法の実質的改変
金 沢 信 之

はじめに

 教育特区構想が持ち上がっている。 学習指導要領に代表される画一的な教育行政の下で、 確かに不登校や外国籍の子ども達の教育がなおざりにされてきた事実もある。 行政は積極的に事態の改善を行ってはこなかった。 そのゆえに、 子ども達に対する学習保障を実現する様々な運動に携わる方々にとっては、 今回の構想で議論が公になり、 場合によっては実現の可能性もあるかもしれないといった点で、 この構想を歓迎するむきもあるのだろう。 だが、 教育特区で事態がたとえ改善されるとしても、 教育全体ではむしろ失う物のほうが多いような気がしている。
 教育特区をめぐる議論は、 子ども達の学習保障めざす方向と教育を市場と考える新自由主義的発想の中で迷走している。 しかし、 構想の進展のあまりの速さに教育現場はついていけてないのが現実のようだ。 当事者達が知らない間に多くの事柄が変わってしまうのでは、 民主国家とは呼べないし、 本当の意味での情報化社会でもない。
 本レポートは、 教育特区構想が発現した経緯とその現状、 指摘されつつある問題点をまとめることが目的である。 不十分な内容ではあるが、 今後の検討の一助になれば幸いである。

1.「構造改革特区」 構想の経緯と目的

 1 )構想の経緯
 現在まで、 教育特区を含めて、 いわゆる 「構造改革特区」 構想は以下のような経緯で進行してきた。 (注1) それは官庁の強い反対を押し切るため、 内閣主導、 そして総理大臣の強いリーダーシップで進められている。 そのためか、 構想の進展は速い。 具体的な検討からおよそ 3 ヶ月で、 地方自治体や民間から提案を受け付けている。 (注2)
○ 4 月24日 経済財政諮問会議 (経済財政政策に関し、 有識者の意見を十分に反映させつつ、 内閣総理大臣のリーダーシップを十全に発揮することを目的として、 内閣府に設置される合議制機関) において、 平沼経済産業大臣及び民間 4 議員が、 それぞれ改革特区構想を提案
○ 5 月 2 日 総合規制改革会議 (2001年 4 月 1 日、 内閣府に政令で設置された組織。 規制改革は、 2000年度までは行政改革推進本部の規制改革委員会において調査審議されてきた。
  この委員会が発表した 「規制改革についての見解」 を受けて、 内閣総理大臣の諮問に応じて、 規制の在り方を総合的に調査審議していく、 総合規制改革会議が内閣府に設置された。) の規制改革特区WGにおける具体的な検討が開始
○ 6 月25日 構造改革特区の導入と制度改革の具体化に向けて内閣官房に推進組織を設置することを盛り込んだ 「経済財政運営と構造改革に関する基本方針2002」 を閣議決定
○ 7 月 5 日 内閣官房構造改革特区推進室発足
○ 7 月23日 総合規制改革会議が 「規制改革特区」 構想の中間とりまとめを決定
○ 7 月26日 内閣総理大臣を本部長とする構造改革特区推進本部発足
○ 8 月30日 構造改革特区の第 1 次提案募集の締めきり
○ 9 月20日 構造改革特区推進のための基本方針の策定 (本部決定)
○ 9 月30日 鴻池構造改革特区担当大臣就任
○10月11日 構造改革特区推進のためのプログラムの策定 (本部決定)
○11月 5 日 構造改革特別区域法案の国会提出 (閣議決定)
○11月 7 日 構造改革特区の第 2 次提案募集の開始 ( 1 月15日締めきり)
○12月11日 構造改革特別区域法案成立 (構造改革特別区域推進本部が設置)
(下線 筆者)

 2 )構想の目的
 特区を設置する目的は次のように説明されている。 (注3)

  経済の活性化のためには、 規制改革を行うことによって、 民間活力を最大限に引き出し、 民業を拡大することが重要である。 現下の我が国の厳しい経済情勢を踏まえると、 一刻も早く規制改革を通じた構造改革を行うことが必要であるが、 全国的な規制改革の実施は、 さまざまな事情により進展が遅い分野があるのが現状である。 こうしたことを踏まえ、 地方公共団体や民間事業者等の自発的な立案により、 地域の特性に応じた規制の特例を導入する特定の区域を設けることで、 当該地域において地域が自発性を持って構造改革を進めることが、 特区制度を導入する意義である。
  したがって、 地域においては、 国があらかじめ何らかのモデルを示したり、 従来型の財政措置による支援措置を講じることに期待するのではなく、 「自助と自立の精神」 を持って 「知恵と工夫の競争」 を行うことにより、 地域の特性に応じた特区構想を立案することが期待される。 また、 そのような地域の独創的な構想を最大限実現するための環境整備を、 内閣一体となって行っていくのが特区制度である。
 (構造改革特別区域基本方針( 1 )構造改革の推進等の意義 2003年 1 月24日 閣議決定  下線筆者)

 特区設置の目的は経済を活性化して民間事業を拡大することである。 教育についても例外ではない。 教育の市場化を通して民間事業の拡大が企図されているのである。 つまり、 デフレ化の日本経済からできるだけ速く脱却し、 かつてのような経済成長路線に戻るため、 官製市場に民間企業が参入し、 競争原理と自己責任の原則で事業を拡大することが教育の分野にも施策として要求されているのである。 まずは経済成長路線への回帰が大目的といえよう。 教育に限らず全ての特区構想について、 うまくいけば全国に波及させる意図もある。 それは市場に於ける収益と雇用の確保であることは自明である。 教育にかかわる諸問題の解決とはとうてい考えられない。
 競争原理と自己責任は、 教育を選択をする消費者・利用者にも適用される。 すなわち、 教育においては受験という競争原理が強まり、 受験の失敗は保護者・生徒の当事者責任となる。 学校に不適応になったとしても、 当事者である保護者・子ども達が責任を負うケースが増加するだろう。 さらに、 受験競争に参入できる層とそうでない層とに社会はこれまで以上に階層分化すると考えられる。
  
2. 課題・問題点 (中等教育を中心に)

 教育特区について、 検討すべき課題と問題点を 「構造改革特別区域基本方針について」 (2003年 1 月24日閣議決定 以下 「基本方針」 と表現) で示された特区構想を中心にまとめたい。 必要に応じて 「規制改革推進に関する第 2 次答申」 (2002年12月12日 以下 「第 2 次答申」 と表現) も参考にする。 (注4)

  「構造改革特別区域基本方針について」 で、 特区において講じることが可能な規制の特例措置は2003年 3 月までのできる限り早い時期に公布し、 4 月 1 日に施行するものとされた。 さらに、 地方公共団体や民間事業者等からの提案を受けて検討した結果、 特区において規制の特例措置を講じることとされたものについて、 適宜追加・充実していくものとしている。

1 ) 学校制度が多様化する問題
 構造改革特別区域研究開発学校設置事業 (「基本方針」) は学校制度の多様化について次のようにまとめた。
 
  地方公共団体が、 憲法、 教育基本法上の理念、 及び学校教育法に示されている学校教育の目標を踏まえつつ、 学校種間のカリキュラムの円滑な連携や教科の自由な設定等の取組を行うことが適切であるものとして、 内閣総理大臣の認定を申請し、 その認定を受けたときは、 構造改革特別区域計画を実施するに当たって適切な期間、 教育課程の基準によらない教育課程の編成・実施を可能とする。

 やや抽象的だが、 これに先立つ 「構造改革特区推進のためのプログラム 別表一」 (2003年10月11日) (注5) では上記に加えて 「小中一貫校」 「学習指導要領の弾力化」 などが盛り込まれている。 事実、 地方自治体からの提案にはこの小中一貫校が多い。 また、 外国語による教科学習も目立っている。
 しかし、 この方針に先行する形で、 品川区は 「小学校 6 年、 中学校 3 年」 の枠組みを弾力化し、 9 年間を 「 4 年、 3 年、 2 年」 の三つにして構成するカリキュラム案を固めたことが報道された。 (注6) 特区よりも先に事態は既成事実化している。
 問題とすべき視点は何か。 憲法二十六条は 「すべての国民は、 法律の定めるところにより、 その能力に応じて、 ひとしく教育を受ける権利を有する」 と書く。 教育基本法第三条も含めて、 ここには教育の機会均等が述べられているのである。 つまり、 憲法二十六条・教育基本法第 3 条を保障するものとして、 修業年限の維持、 六三制の維持が必要となるのではないだろうか。 もっとも、 文科省は多様化政策の中で自らこれを否定してきたとも言えるのだが。    

2 ) 教員採用にかかわる問題
  「基本方針」 は特区における教員採用について概ね次のような措置が可能であるとしている。 (「基本方針」 の内容を簡略化した。)

○教員免許を有しない者を、 特別免許状の授与を前提として、 市町村費負担教職員として任用しようとする場合、 都道府県教育委員会とあらかじめ協議して、 免許状授与手続きの迅速化を図ることができる。
○教員免許を有しない者を市町村費負担教職員として任用しようとする場合 (採用選考・免許状授与)、 あらかじめ市町村及び都道府県が協議・連携し、 免許状授与手続きの簡素化を図ることができる。
○市町村教育委員会が、 小学校等又は定時制高等学校において、 当該特区における産業を担う人材の育成、 国際理解の促進等のために教育上特に配慮が必要な場合、 内閣総理大臣の認定を受けたときは、 市町村立学校職員給与負担法第 1 条又は第 2 条 (市町村立小中、 定時制職員の給与都道府県負担) の規定は、 適用しない。

 従来、 免許状を要することなく教授・実習が行えたのは非常勤講師のみであった (教職員免許法 第 3 条の二)。 無免許の特別非常勤講師は1988年の大幅修正で認められたものである。
 戦後、 閉鎖的な戦前の師範学校による教員養成の反省の上に開放的な新しい教員養成制度が生まれた。 そこでは教職の専門性が重要視され、 免許状主義が徹底されてきたはずである。 教職に就くためには教養・専門教育、 教職・教科教育を新制大学で学ぶ必要がある。 憲法・教育基本法の理念にもとづく学習を通して、 教員は養成されてきたのではないか。 免許状を持たない民間人が教員として雇用されるということは、 閉鎖性・開放性を問わず、 教員養成原則の大幅な変更なのである。
 市町村で教員採用の自由度が増せば、 市町村独自に小編成授業を実施するような場合はとてもやりやすい。 教育条件改善の一助とはなるだろう。 もっとも、 費用は市町村の負担だから、 豊かな自治体とそうでない自治体では教育条件の差が大きく開くことになる。 居住する地域によって、 教育条件が著しく異なるとしたら、 教育基本法第 3 条、 憲法14条、 憲法26条に抵触するとも考えられる。

3 ) 設置主体の問題
 株式会社が学校運営を行うことについては、 文科省の反対があり、 「基本方針」 に採用されなかった。 しかし、 政府の強い要望で、 特別なニーズがあれば認める方向に文科省は態度を転換した。
 株式会社による学校経営は教育の市場化を象徴している。 「第 2 次答申」 は教育分野における株式会社等の参入を2003年度中に検討し結論を出すとしている。 また、 文科省は公立学校と私立学校との間の生徒の負担の平等を確保するための教育切符制の導入は、 特区に限らず、 現行の教育財政制度の下で実施可能としている。 現在、 自治体からの要望はないとしても、 公立以外の設置者にとって、 教育切符は経営の安定化のために強く要望されることは確実である。
 学校の設置者は、 教育基本法第 6 条に 「法律の定める学校は、 公の性質をもつものであって、 国または地方公共団体の外、 法律に定める法人のみが、 これを設置できる」 と規定されている。 私立学校を学校法人しか設立できなかったのは、 設置主体に民主性・公共性・永続性・確実性 (注7) を付与することが必要と考えられたからであった。 文科省はこういった視点から株式会社の学校運営を認めてこなっかったのだが、 最近になって、 特別なニーズがあればそれを許可する方向へ方針を変更した。 さらに、 永続性・確実性で懸念のある、 NPOによる学校設置も認める方向へ転換した。
 株式会社によって学校が設立され、 そこに国が財政的な助成を行ったとしたら、 憲法第89条の 「公の財産の支出利用の制限」 に抵触する恐れがある。    
 また、 地方自治体が法人組織を設立して、 義務教育において授業料等を徴収したとしたら、 それは憲法26条 「義務教育の無償」 との関係に問題を生じそうである。

4 ) 官製教育市場への民間企業の参入
  「第 2 次答申」 は教育への外部資源の積極的活用を2003年度中に措置することを求めている。 そこには次のようにある。
 
  現行、 既に総合的学習の時間において、 学校外の教材や学習環境の積極的活用が図られているところであるが、 そうした取り組みを促進するとともに、 さらに民間企業やNPO等など学校以外の主体が保有する教育資源の有効活用等の観点から、 例えば外国語やIT教育などの授業において、 各学校の判断で外部人材や学外の学習環境の活用が推進されるよう、 ガイドラインの策定や体制の整備等を図るべきである。 また、 現在PFI (Pri-vate Finance Initiative:民営化・民間事業体の参入) 方式により学校施設等の維持管理と温水プールの地域開放時の運営や水泳教室・フィットネスの運営などが行われている例が既にあるが、 学校運営のアウトソーシング促進の観点から、 PFIによる学校施設運営が可能である範囲について明確化を図るべきで・・・

 上記によれば、 外部資源の積極的活用は大きく分けて二つありそうだ。 ひとつは、 学校内外を問わず教材や学習環境などの外的なもの。 もう一つは教員などの人的なものである。 後者については、 免許を有しない者の採用がかなり自由になることから、 民間企業から教師が派遣される形態もあるのかもしれない。 その場合、 学校のあり方が根本的に変化するだろう。 人件費を圧縮するために、 短期雇用や専門教科のみに特化された代替可能な教員と学校運営 (経営) を担う教員に人的配置は合理化されるかもしれない。 それによって、 教育の協働の営みとしての側面が失われることにもなるだろう。
 教育とは長期の雇用の中で、 日々の実践を通して、 幅広い人間性の獲得することによって成立しうる職業なのではないか。 人と人とのつながりは、 短期の利益誘導型の発想の中では育まれない。 利益を度外視した、 人と人とのつながりを大事にするような教師が学校を支えてきたのではないか。 人間関係を基礎に据えた教育のありようは、 誰かに評価されることを期待していてはなかなかうまくいかない。 時に、 教師は失敗をも糧にしながら生徒とともに成長するのである。 教育には経済の営みでは計ることのできない側面がある。

5 ) 教員評価システム
  「第 2 次答申」 は2003年度中に教員評価の導入による教員資質の向上について措置することを言及している。

  社会や地域住民、 保護者や児童生徒のニーズに応じた教育を推進し教員の資質向上を図る観点から、 教員の能力に応じた処遇が適切になされるシステムに転換するよう、 各教育委員会に対し新しい教員評価の導入の促進を図る。 また、 英語教育を充実する観点においては、 「英語が使える日本人」 の育成を目指した行動計画を平成14年度中にとりまとめるとともに、 特に中学校については、 平成15年度から外国人の優秀な外国語指導助手の正規教員等への採用を促進する等、 教員の資質を向上させ、 公立小・中学校の改革を推進すべきである。

  「第 2 次答申」 は教育についての問題意識の中で、 「主体間の競争的環境を通した質的向上」 と 「教育の質と適正な競争を担保する客観的な仕組み」 が必要とする。 現在、 全国的に導入されつつある教員評価システムは、 教員間に競争原理を導入することが企図されている。 だが、 教員・学校間の競争によって教育の質的改善が図れるというのは短絡的な発想としか思えない。 現代の教育が抱える諸問題の背後には、 階層社会の病理があることは多くの研究者によって指摘されている。 能力のみならず意欲までもが社会階層によって左右される状況 (注8) を教員・学校間の競争によって打開できると考えるのは、 あまりに単純すぎる。
 要するに、 「第 2 次答申」 や教育特区は教育 (広くは社会) が抱える問題に解決の道筋を示すことなく、 経済の飽くなき成長を目指して、 現状のデフレ状況を脱却するために教育を市場経済に巻き込む結果を残すだけである。  

おわりに

 教育特区は憲法・教育基本法を越えて実現する。 特区でうまくいけばその仕組みを全国に広げる意図もあるのだから、 結果として、 憲法・教育基本法を変更する必要が生じるのは確かなことだ。 既にその動きは始まっている。 ここには、 変更そのものが持つ中味の問題とこのような手法にかかわる問題がある。 議論することなく、 民意を問うことなく、 改革と成長の錦の御旗の下、 憲法・教育基本法を変える道が開かれつつある。
 繰り返しになるが、 教育行政の怠慢や政治的判断から子ども達の学習保障が進まない側面があるのは事実だ。 最近も、 政治的判断から、 大学入学資格をインターナショナル卒のみに付与し、 民族学校卒には認めない方針が文科省によって示された。 北朝鮮の件が背景にあると報道されている。 政治的判断であり、 子どもの側にたった判断ではない。 また、 教育分野は圧力団体を持たないので、 特区室からの攻撃も厳しいことが報道されている。 教育特区が政治の道具と化す恐れがある。 (注9)
 教育を語る時に忘れてならないのは、 子どもの側の視点だろう。 激しい受験競争 (注10)、 経済的に豊かな層のみにひらかれていく学校、 住む場所によって異なる教育条件、 大学合格率によって評価される教師とだけ向き合う学校 (注11) での生活などを子ども達がのぞむだろうか。 私にはそうは思えないのである。 だから、 教育特区をこの視点で常に検証せねばならないと考えている。  



        【注】


(注1) 構造改革特区推進本部HPの資料を基本に作成した。
 http://www.kantei.go.jp/jp/singi/kouzou2/sankou/tokku.pdf

(注2) 2002年 9 月 6 日 地方公共団体等からの構造改革特区の提案について
 http://www.kantei.go.jp/jp/singi/kouzou/kouhyou/020906/gaiyou_08.pdf
 横須賀市で国際教育特区を提案している。 概要は以下の通り。
  米海軍基地内大学、 横須賀リサーチパーク集積企業等の人材や情報ネットワーク 基盤等が充実した地域特性を活かし、 来年度開校予定の県立保健福祉大学と連携しながら、 学校設置基準、 学年・学級編成基準、 教員免許を有していない外国人等の常勤職員への任用、 公共施設の空きスペース等の他用途への転用等に関する規制の特例により、 小中高一貫校など新形態の学校を整備し、 教育の選択可能性、 質の向上、 創造的人材の育成を図る。

(注3) 構造改革特区推進本部HPの資料より引用した。
 http://www.kantei.go.jp/jp/singi/kouzou2/kettei/030124kihon.html

(注4) 「規制改革推進に関する第 2 次答申」 は総合規制改革会議のHPを参考にした。
 http://www8.cao.go.jp/kisei/siryo/021212/index.html

(注5) 構造改革特区推進本部ホームページ (平成14年 7 月〜12月) の資料による
 http://www.kantei.go.jp/jp/singi/kouzou/kettei/021011/b_1.pdf

(注6) 朝日新聞 2003年 2 月 5 日 品川区、 4・3・2 制へ
  東京都品川区教育委員会は解説準備中の区立小中一環校では、 「小学校6年、 中学校 3 年」 の枠組みを弾力化し、 9 年間を 「 4 年、 3 年、 2 年」 の三つにして構成するカリキュラム案を固めた。

(注7) 『教育法規事典』 兼子仁・神田修編 1991年 p56

(注8) 『階層化日本と教育危機』  苅谷剛彦 2001年

(注9) 朝日新聞 2003年 2 月21日 大学入学資格 民族学校卒 認めぬ方向 インターナショナル卒のみ付与 北朝鮮情勢背景に
  国内外国人学校の卒業生が大学の入学資格を無条件で得られない問題で、 文部科学省が、 外国人学校のうちインターナショナルの卒業生に限って資格を与え、 朝鮮学校など民族学校はこれまで通り、 認めない方向で検討していることがわかった。 インターナショナルスクールについては、 英米にある民間の評価機関によって認証を受けていることを資格の条件とする方針だ。
朝日新聞 2003年 2 月28日 文科省  「件数稼ぎ」 狙い撃ち
 首相らの 「件数稼ぎ」 のため、 文部科学省も集中砲火を浴びた。 「医師会のような強い圧力団体もなく、 くみしやすい」 (特区室) と見られたからだ。 鴻池特区相当相の存在も大きかった。 たとえば、 NPO (非営利組織) の学校設立問題。 鴻池担当相は、 文部官僚出身の遠山文科相に拒否されると、 「大臣外し」 に打って出た。

(注10) 受験競争の激化は次のように報道されている。 学力低下問題の影響ももありそうだ。 なお、 神奈川でも学区が撤廃される動きがある。 東京と同じ状況になるかもしれない。
朝日新聞 2003年 1 月30日 都立高の学区撤廃・絶対評価導入後初 「激変」 入試スタート
  東京の都立校では30日、 推薦入試があった。 学区が撤廃され、 合否判定に大きな比重を染める調査書の評価方法が、 絶対評価に変わって初の入試。 平均応募倍率は3.42倍と過去最高になった。 激変のなか、 中学校側からは 「合格ラインが読みにくい」 との声ももれた。 (下線 筆者)
朝日新聞 2003年 2 月 1 日 私立中 「受験率最高」 加熱首都圏入試ピーク学力低下不安で
  大手進学塾などのまとめでは、 東京、 千葉、 埼玉、 神奈川の 1 都 3 県の私立中への志願者は、 学力低下不安などから、 少子化や不況にもかかわらず増えそうだという。

(注11) 朝日新聞 2003年 1 月 8 日 民間出身校長 「現役合格60%に」 数値目標に教諭ら反発 大阪府立高津高校
  大阪府高津高校 (大阪市天王寺区) で、 企業出身の木村友彦校長(56)と教諭たちの一部が対立している。 難関大学への合格率向上を掲げ、 職員会議を経ずにトップダウン方式で改革を進める校長に、 府立高校教職員組合 (府高教) が反発し、 府教委が校長に 「謝るべきところは謝ればいい」 と指導する事態になった。 校長と教諭の対立に府教委も困惑している。

(注12) 本文を書くにあたって、 「季刊教育法」 135号におさめられた以下の論考を参考にした。
   「規制緩和と教育行政―教育特区構想とは?」 佐藤修司 
   「構造改革特区と地方教育行政― 市町村費負担教職員制度に着目して」 中嶋哲彦
   「教育起業とローカルルール―教育特区が問いかけるもの」 高野良一 
   「機会の平等を奪う教育の自由化」 斎藤貴男 


  (かなざわ のぶゆき 教育研究所員)