D.必履修科目の学校指定と選択制について

  調査項目Dでは、必履修科目の学校指定と選択状況について調査を行った。学習指導要領に定められた必履修科目を、学校「指定」で全員の必履修として定めている科目と、「選択」科目としているもの、それぞれについて単位数を調査した。「指定」とは全員に受けさせている科目であり、芸術科に多く見られるような、数科目から一つ選択する方式のものは含まない。また、「保健」「家庭」などに多く見られるように複数年度にわたって履修をしている科目はその合計単位を調査した。ここでは2003年度入学生の必履修科目の「指定」の置き方の傾向について主だった点を指摘したい(表4)。
「国語」においては、「国語表現1」を必履修としている学校は5校のみである。多くの学校が国語表現的な分野も含んで単位数の多い「国語総合」を全員必修としている。
「地理歴史」「公民」については、別表の状況(減単や増単もかなりある)である。全員で履修した後、さらに上位学年での進路や科目選択との連動もあると考えられる。
「数学」においては、調査校の全てで、「数学1」を指定している。
「理科」においては、「理科総合A」を指定した学校が58校。「理科総合B」の25校の約2倍となっている。その他「物理」「化学」「生物」「地学」については、社会科と同様に、上位学年での科目選択と連動している面が大きいと思われる。大学入学試験の科目数などの動向に配慮している面も大きいのではないか。
「保健体育」においては、「体育」の減単や増単を行った学校が数校あった。
「外国語」の「オーラル・コミュニケーション1」は53校で「英語1」と共に全員に指定。「英語1」については標準単位を2単位上回って全員に指定する学校が多い。大学入学試験との関係などが配慮されていると考えられる。
「家庭科」については、「家庭基礎」20校、「家庭総合」69校、「生活技術」0校という結果であった。現行学習指導要領で家庭科が共学化された時点から、どの科目を何単位設定するか論議となり、県立高校では「家庭一般」4単位を設定する学校が多くなっていたが、新カリキュラムでは、二つの科目に分かれた感がある。また、「家庭総合」を設定している学校のうち、標準単位の4単位を下回る単位数を想定している学校が19校ある。いずれの教科においても、カリキュラム構成上は標準単位を減じることがあり得るが、少なくない学校で、「共学で4単位で実施」としてきたことからの変化が見られる。受験の科目に入りにくい教科であることや、家庭科教員数がこれまで大幅に不足していたことなども影響しているかもしれない。
「情報」については、基本的な内容ということからか「情報A」の指定が78校と多い。
「総合学習」は設置されはじめであることもあり、3単位相当の学校が圧倒的である。いずれの学校もカリキュラム編成には時間がかかった様子がうかがえる。調査の4〜5月時点では、「未定」または「一部変更あり得る」としている学校が20校前後ある。また、再編校においては、全員指定の科目が「体育」や「保健」のみでその他は、大幅に必履修科目の選択を取り入れているところもあった。