神奈川県高等学校教育会館

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教育問題研究会
 様々な問題行動を起こす生徒の理解するためにはその背景となっている問題を理解する必要がある。当研究会はまず現在在日外国人でもっとも多い数の中国人について学んだ。 
 日本と尖閣諸島をめぐり緊張関係を持つ中国を我々はどう理解しているのか?江戸時代までは日本のモデルとなり明治以降の近代になると近代化に成功した日本に対して中国は失敗した「支那」と馬鹿にされるようになった。この程度の知識しかなく、現在は安物を大量生産する国中国というイメージが先行している。最後に日本の固有の領土である資源が眠る尖閣諸島をねらう欲深な国と欲深な国民というのが現在の最も多い中国理解である。
 こういった認識を改めるために東京大学教養学部で近世中国史の専門家杉山清彦氏に中国の伝統とは何かを講義していただいた。 
  1. 中国は伝統的に高い社会的流動性を持つ社会である。この背景にあるのは長子相続の伝統の日本と違い土地は分割相続でありイエの意識はない。出稼ぎ移民移住といった空間移動も多く、官界商業土地経営の上下移動も激しい。
  2. その反面強い競争社会の安全装置としての社会的結合が強い一面もある。頻繁な転職・転社を繰り返す社会での安全策としての親族、姻像に限らず秘密結社・宗教結社が相互扶助を受けられる組織として存在。また三国志の義兄弟のような個人単位の結合が強い、この場合組織を媒介にしないところが中国である。以上は内容の印象深い一部である(詳細は別紙参照)

 次に生徒理解していくとき必要なアイテムである「心と体の関係」ということで楠の木学園の神田誠一郎氏に講義していただいた。楠の木学園は様々な発達障害をかかえる生徒の支援を目的とした学校で神田氏はここで長年支援教育に携わってこられた。そしてかれが行き着いた先がブレインジムであった。
 内容で一番印象深い内容は「人間の目とは目の前にある細かい物を集中的に見ることのために作られた器官ではありません。特に成長段階にいる子どもたちがテレビやゲームや携帯で目を酷使すれば自然とストレスがたまっていくものであり、そのストレスが考えられない行動をうみだしていくことは最悪の場合、秋葉原の事件の教訓ではないでしょうか、そのためには目の酷使することは制限すべきではないでしょうか。」とう部分であった。

 この2つの内容はともに出席者にとってはじめて聞く内容が多く、この内容を知ることで多様な生徒に対応していくアイテムとなっていこう。また一面的見方しかもその内容が一般的日本人に受け入れやすい内容だとうのみにされていくことが恐ろしい現実がある。そうした時期にこうした研究会が行われたことは極めて意義深い物と信じる。
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