- 研究の目的
「多文化共生教育」は、外国につながる子どもたちが生き生きと生きられるように支援するだけでなく、外国につながる子どもたちの周囲にいるマジョリティ側の日本人の子どもたちが変わるための教育である。しかしながら、今学校で取り組まれている「国際理解教育」や「多文化共生教育」は、3F(フード、ファッション、フェスティバル)にとどまるものが多く、日本人生徒の意識の変容までに至っていないのが現状である。
この研究は、神奈川県内の総合学科高校で取り組まれている、夏休みのフィールドワークを中心とした短期集中講座に参加している生徒の意識の変化を探ることで、「多文化共生教育」はどうあるべきかについて考えることを目的としている。
- 講座を受ける前の生徒たちの意識
多くの日本人高校生は、「なぜ外国人が日本に住んでいるのか」を知らない。漠然と「働きにきている」「勉強しにきている」「日本は住みやすいから」といったイメージしかない生徒が多い。それぞれの外国人固有の移住理由があることを理解できていない。
- 5日間の講座終了後の生徒の意識の変化
受講する前までは、外国人とはあまり関係がない、関わりがないと思っていたが、とても身近な問題であった事に気づく生徒や、外国人が嫌いだったが、その原因が自分の中の差別意識だと気づいていく生徒がいる。また、「5日間で自分が変わった」と感じる生徒もかなりいる。さらには、自分にできることは取り組んでいきたい、といった前向きな考えを持つようになった生徒もいた。
- まとめと課題
「多文化共生教育」にきちんと取り組めば生徒たちの意識は確実に変わると思われる。 ただ今回は、準備不足で、「生徒の意識の変化」の分析が十分にできなかったし、どんな「多文化共生教育」が効果的なのかの分析もできなかった。引き続き研究を続けていきたい。
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