神奈川新聞(2002.9.5)より
熱中症で野球部員死亡
       顧問教諭に罰金求刑
    地裁川崎支部 被告、起訴事実認める

  川崎市立中原中学校二年の森本桂多さん=当時(一三)=が二〇〇〇年八月、野球部の練習中に熱中症で倒れて死亡した事件で、適正な救護措置を取らなかったとして業務上過失致死の罪に問われた元野球部顧問の教諭小林義仁被告(四〇)=同市宮前区菅生"の初公判が四日、横浜地裁川崎支部(栗田健一裁判長)で開かれ、 小林被告は「間違いありません」と起訴事実を全面的に認めた。
  検察側は冒頭陳述で、十分な水分補給のないまま気温上昇時に持久走をすれは、体力のない生徒が熱中症にかかる危険性は極めて高いことを小林被告は知っていたと指摘、さらに、集団の後尾を走るなど、森本さんが熱中症にかかっていることがすぐに分かるような指導監視をしていれは、適切な処置が取れたとした。
  論告では、二人息子を奪われた両親の悲嘆は察するに余りあり、被告の刑事責任は重大」としながらも、懲戒処分を受けるなど社会的制裁を受けているとして、罰金五十万円を求刑した。
  判決は三十日に言い渡される。
  起訴状によると、小林被告は夏休み中の二〇〇〇年八月二十一日、川崎市中原区の野球場で二時間以上にわたるノックなどの練習中、部員にまったく休憩させなかった。さらに、約五分の給水休憩を取らせただけで、約五キロの持久走をさせた。その際、自分は先頭集団と一緒に走り、森本さんを熱中症に起因する多臓器不全による出血性ショック死で死亡させた。
  小林被告が罰金五十万円を求刑されたことについて、死亡した森本さんの父親(五二)は「不服だ。安全管理をしていれば起きなかった。(判決では)禁固刑にしてほしい」と訴えた。
  母親(49)も「きちんと責任を取ってほしい」と同被告を批判した。
  同席した原告側の金子悦司郎弁護士は「生涯償っていくという法廷での言葉が本当なら、被告は職を辞しておわびすべきだ」などと話した。
  小林被告は別の中学校に籍を置いたまま、市総合教育センターで研修を受いる。